今回は、継続的なNPO活動に欠かせない「4つの資金調達先」を見ていきます。※本連載は、コミュニティ・ユース・バンクmomo・代表理事・木村真樹氏の著書、『はじめよう、お金の地産地消――地域の課題を「お金と人のエコシステム」で解決する』(英治出版)の中から一部を抜粋し、「新しいお金の流れ」を地域に生み出し、地域の課題を解決するNPOバンクの取組みを紹介します。

「会費・寄付」「事業収入」「補助・助成金」「受託収入」

前回の続きです。

 

以上3つの大前提を踏まえたうえで、NPOやソーシャルビジネスの資金調達を考えてみると、その〝志金〟源には、

 

(1)会費・寄付
(2)事業収入
(3)補助・助成金
(4)受託収入

 

の4つがあります。サービスの受益者から対価を取りづらい以上、これら4つの〝志金〟源を組み合わせて多様に持つことが、継続的なNPOの条件のひとつです。また、「外来性の高い(変動的な)」(3)補助・助成金や(4)受託収入を元に商品(解決策)を開発し、「自前性の高い(安定的な)」(1)会費・寄付や(2)事業収入を高めていく戦略も不可欠です。

 

設立初年度の2005年度に123万円の収入からスタートしたmomoは、2015年度に1711万円と、この10年間で事業規模が約14倍になりました。補助・助成金や受託収入の割合が多かった2011〜2012年度を経て、事業収入の増加に取り組んだ結果、2015年度には事業収入の割合が約7割に達しました。2016年度は「会費・寄付」「事業収入」だけで(「補助・助成金」「受託収入」なしで)事業を計画し、有給スタッフ3名を雇用しています。

 

また、2013年度に有給スタッフ2名でスタートしたあいちコミュニティ財団では、2016年度から7名を雇用し、2017年度の予算は「補助・助成金」なしで約4200万円に達しています。

地域課題の解決策が「商品」であることを意識する

いずれの〝志金〟源を獲得するうえでも大切な視点が、NPOやソーシャルビジネスの商品は「地域課題の解決策」であるということ。会費・寄付も立派な収入のひとつです。途上国支援に取り組む団体が自らの解決策を示し、先進国で会費や寄付を募るのと同じです。

 

そのためには、資金提供者に地域課題を実感してもらい、その解決策に参画する手段として「会費・寄付」という〝商品を売る〟必要があります。会費や寄付というと、「お願いするもの」「されるもの」というイメージがありますが、ぼくたちが日々生活するなかで、「買ってください」とお願いされて商品を買うことはまずありません。

 

お願いごとは長続きしません。その人との関係性にもよりますが、最初はお願いごとでよくても、それが2回、3回と続くと、お願いする側もされる側も、徐々にしんどくなっていきます。関係性は対等だからこそ、続いていくと思うのです。そのためには、地域課題を伝え、解決策を示し、参加を呼びかける。このプロセスが重要ではないでしょうか。
 

[図表]NPOの〝志金〟源

はじめよう、お金の地産地消

はじめよう、お金の地産地消

木村 真樹

英治出版

「お金の流れ」が変われば、地域はもっと元気になる。 子育て、介護、環境…地域づくりに取り組む人をみんなで応援する仕組みをつくろう。 若者たちが始め、金融機関、自治体、企業、大学、そして多くの個人を巻き込んで広が…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録