残債がなく立地が良ければ、所有の継続を
前回までに解説した3つの投資指標から、所有し続けるのか、それとも売却したほうがいいのか、不動産オーナーにとって最適な方法を検討していきます。
基本的には、リスクパーセンテージが80%以上であれば、投資商品としてはリスクが高い物件で、売ったほうがいいと判断しています。また売却運用率で言うと、基本的には、1倍以上であれば売ったほうが得という基準です。
リスクパーセンテージが80%といっても、その内容は様々です。残債が多かったり、持ち出しが発生している物件のリスクパーセンテージが高いのは、当然のことです。前提として、持ち出しが出ている時点で「投資として失敗している」と判断せざるを得ません。簡単に言ってしまえば赤字経営ということです。
しかし、残債がなくて持ち出しが発生していない物件でも、リスクパーセンテージが80%を超えることがあります。
これはすなわち、立地条件の良くない物件のケースです。
指標では、家賃の下落率を加味してシミュレーションを行います。しかし今後も家賃が下落していく可能性が非常に高く、しかも賃貸が付きづらい物件は、たとえローンがなかったとしてもリスクパーセンテージが高くなるのです。
つまり、「今は赤字経営でなくてもいずれ赤字経営になる可能性が非常に高いため、早めに売却をしたほうがいい」という判断です。残債がないからといって、安心はできないということです。
これが、残債がなく立地が良い物件であれば、持っておいたほうがいいでしょう。なぜなら、キャッシュを生み出す物件だからです。
このように、物件診断の結果は様々です。また同じ結果であっても、不動産オーナーの属性や資産背景によってとる選択肢が変わることがあります。
市況の良いタイミングで売却することも重要
さらに、こういった数値の他に基準となるのが市況です。市況の良いタイミングでは、当然のごとく売却価格が高くなります。しかし市況が悪くても、売却運用率とリスクパーセンテージの数字が良くない場合は、そこにこだわらず売ったほうがいいとお勧めしています。
もちろん、すべからく売却しなくてはいけない・・・という話ではありません。ケースによっては、都心で高い新築ワンルームマンションを買って赤字だったとしても、そこから黒字経営へとテコ入れする方法もあります。