「ファン」となった人々がクチコミやSNSで情報発信
前回の続きです。
ヘビーリピーターを多く持つことのメリットは、マンパワーに頼らずにコンスタントに受注が取れて経営が安定することだけではありません。
ヘビーリピーターは、いわば自社のファンです。こちらのサービス内容をよく理解し、その良さを認めてくれています。そういう存在がいると、「あそこの『まごの手』のサービスはいいわよ」「あなたも今度使ってみたら?」と、近所の住民や知り合いにクチコミを広げてくれます。大々的にCMを流さなくても、ファンたちが自然にいい情報を発信してくれるのです。
今はSNSがマーケティングでも圧倒的な力を持っていて、FacebookやTwitterで誰かが「いいね」と言ったモノに注目が集まり、ブームに火が付くといった現象が多発しています。あるいは飲食店では、食べログやぐるなびなどのグルメ系キュレーションサイトの評価やコメントを参考に店選びをする人が増えていますよね。
Facebookを例にとると、このサービスは実名での登録が原則です。誰が情報発信をしているかがわかるので、嘘の記述がされにくく、信頼性の高い情報が集まりやすいと言われています。そのため、ここで知り合いが「これ、いいよ」と言った評価は本当のこととして受け止められやすいのです。かつては人づてでしか伝わらなかったクチコミが、SNSによって非常に速く、広範囲に拡散される時代になりました。
時にSNS以上の信頼性を持つ「リアルなクチコミ」
ただし、全く嘘や誇張がないかというと、それは保証できません。ネットの世界ですから、必ずしも本当のことだけが書かれているわけではないと、ユーザーのほとんどが了解していることでしょう。
その点でいえば、「隣の奥さんから直接聞いた」とか「近所の井戸端会議でママ友が言っていた」とかいったリアルなクチコミは、SNS以上の信頼性を持つことになります。日頃から付き合いがあり人柄もよく知っているAさんから「あの会社のサービス、いいわよ」と言われれば、「へえ、そうなんだ」と思う人は少なくないでしょう。
しかも、そのAさんはその会社のことを宣伝する意図など全くなく、純粋に「いいサービスだからBさんにも教えてあげたい」という親切心で言っています。インターネット広告のような利害関係のない、純粋な親切心から出た言葉は、より一層相手の心に響きます。
自社のファンともいうべき存在を増やしていくことで、究極的にはこちらが営業をしなくても、勝手に情報が広がり新規顧客が集まってくる―という理想形に近づきます。