前回は、地場産業企業が「コアマーケティング」に転換した理由を説明しました。今回は、地場産業に役立つ「マルチコアマーケティング」とは何か見ていきましょう。

地場産業のマーケティングは「コア」のほうが効果的

マーケティング業界では、コアといえば「共通のなにかを持っている狭い範囲の人々」を指します。現在ではコアマーケティングというよりも、「マルチコアマーケティング」という名称のほうが一般的です。

 

人々の嗜好も行動様式も多様化した現在、広告宣伝資金が豊富な大手企業は別として私の会社のような規模の小さな「地場産業」では、広くマスを狙うマーケティングよりも全体の1%の趣味嗜好の合ったコアを狙うマーケティングのほうが効果があります。

家具作りの際に用意したコアは「節」と「デザイン」

マルチコアマーケティングとは、そのコアを複数持つということ。あまりたくさんコアを持ちすぎると逆に「ノンコア」になるといわれています。個性はひとつふたつあるから輝くのであって、個性がたくさんありすぎると逆に没個性になるのです。

 

その意味で私は、節のある家具をつくろうとした時に、「節」というコアに加え「デザイン」というコアも用意しました。

 

節があることで逆に洗練されたデザインになること。節自体がかっこいいものであること。

 

私はそのコアを狙って社内のデザインチーフを説得し、専属デザイナーの佐々木敏光さんにも趣旨をよく説明し、狙いを明確化してもらい、商品コンセプトを固めていったのです。

 

商品のデザインが具体的になってくると、社内の雰囲気も変わってきました。完成が近づくにつれ、「この商品は売れるかもしれない」という思いが社員にも芽生えはじめていました。

本連載は、2017年7月28日刊行の書籍『よみがえる飛騨の匠』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

よみがえる飛騨の匠

よみがえる飛騨の匠

岡田 贊三

幻冬舎メディアコンサルティング

時代とともに移り変わる消費者ニーズの変化によって、崩壊の危機を迎えている地場産業。地場産業が生き残るためには「販売戦略」「製品開発」「生産体制」「後継者育成」「ブランディング」「地域プロモーション」の6つの改革…

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