地場産業のマーケティングは「コア」のほうが効果的
マーケティング業界では、コアといえば「共通のなにかを持っている狭い範囲の人々」を指します。現在ではコアマーケティングというよりも、「マルチコアマーケティング」という名称のほうが一般的です。
人々の嗜好も行動様式も多様化した現在、広告宣伝資金が豊富な大手企業は別として私の会社のような規模の小さな「地場産業」では、広くマスを狙うマーケティングよりも全体の1%の趣味嗜好の合ったコアを狙うマーケティングのほうが効果があります。
家具作りの際に用意したコアは「節」と「デザイン」
マルチコアマーケティングとは、そのコアを複数持つということ。あまりたくさんコアを持ちすぎると逆に「ノンコア」になるといわれています。個性はひとつふたつあるから輝くのであって、個性がたくさんありすぎると逆に没個性になるのです。
その意味で私は、節のある家具をつくろうとした時に、「節」というコアに加え「デザイン」というコアも用意しました。
節があることで逆に洗練されたデザインになること。節自体がかっこいいものであること。
私はそのコアを狙って社内のデザインチーフを説得し、専属デザイナーの佐々木敏光さんにも趣旨をよく説明し、狙いを明確化してもらい、商品コンセプトを固めていったのです。
商品のデザインが具体的になってくると、社内の雰囲気も変わってきました。完成が近づくにつれ、「この商品は売れるかもしれない」という思いが社員にも芽生えはじめていました。