今回は、商工中金の不正融資問題で、ターゲットになっていたと思われる経営者像を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「あの社長なら、いけそうだ」

商工中金の不正融資実態解明に、
ついに金融庁が動き始めました。
そこには、
中小企業が銀行交渉のうえで、
教訓としておかねばいけないことが、
詰まっているのです。

 

今回の不正融資では、
決算書を悪い数字に改ざんすることによって、
必要以上の融資を獲得していた銀行員が、
約1000人いました。
ということは少なくとも、
1000社以上が不正融資の対象になっていた、
ということです。

 

とはいえ、不正融資を行った銀行員も、
その対象とする会社を、選んでいたはずです。
“あの社長は厳しいだろうな。”
“あの社長なら、いけそうだ。”
という、選別のもと、進めていったはずです。
では、どのような社長なら、
行けそうだ、と思われたのでしょう。

経営者が「財務・交渉の知識」をつけ、自己防衛をする

“あの社長は、いつも借りたがっている。”
“あの社長は、決算書のことをあまりわかってなさそうだ。”
“あの社長は、銀行交渉のことをわかってなさそうだ。”
といった目安で、彼らは融資先を選んでいたと思われます。
それでいて、
“この会社なら、不良債権にはならないだろう。”
という会社は、格好のターゲットだったのです。
今回問題になっている「危機対応融資」には、
利子補給もついていました。
そうなるとますます、
“俺の力でいい条件で借りれた。”
“あの銀行員は、ウチのことをよくわかっている。”
などという、勘違い社長が現れていたことでしょう。


結局、
「貸借対称表や財務のことを理解していない」
「銀行交渉をわかっていない」
という経営者が、不正融資の対象として、狙われていたのです。
その結果、それらの会社は、
借入金が増え、金利が増え、総資産を膨らませ、
財務体質を悪化させていたのです。

 

どこの銀行員であっても、
財務知識、交渉知識が不足している経営者を探しています。
それは、銀行員にとって、とても交渉しやすい経営者です。
そのターゲットとならないよう、経営者自らが、
知識を蓄えておいてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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