今回は、高級バーと立ち食いそば屋の損益計算書から、どちらの経営がより効率的なのかを探ります。※本連載は、株式会社アジア・ひと・しくみ研究所の代表取締役で、経営コンサルタントの新井健一氏の著書、『儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている』(かんき出版)より一部を抜粋し、なぜ最強のビジネスモデルが「質屋」なのか、儲けの仕組みを説明します。

そもそも「借入金」と「資本金」の違いとは?

前回の続きです。まずは徳川さんの立ち上げる予定の高級バーから。

 

以下の図表は、その高級バーの損益を表したものです。元手として借入金2億円が計上されています。元手とは、商売などをはじめようとするときに必要なお金、資金のことです。元手は、大きく分けて2つの集め方があります。

 

[図表]損益計算書から日々の商売を想像してみよう!

 

ひとつは、銀行などから借りる「借入金」。他人資本とも言います。もうひとつは、自分のお金を充てる「資本金」。自己資本とも言います。

 

借入金の場合は、借りたお金そのものを元本と言いますが、元本と利息を返さなくてはいけません。資本金の場合は、そのお金をどこにも返す義務はありません。自分のお金ですからどこにも利息を支払う必要はないのです。

元手の3割の資本金を用意し、借入金を抑える中山さん

ただし、資本金の場合は、会社の儲けの一部を、資本金を融通した自分やその他の人(出資者と言います)に配当というかたちで支払うことが期待されます。ただ、借入金の元本や利息のように、外部からきっちりいくらと決められているわけではありません。

 

<POINT>

事業資金には資本金(自己資本)と借入金(他人資本)があり、資本金には返済義務がなく、借入金には元本と利息の返済義務があります。

 

次に、中山さんが開業する予定のそば屋の損益を見てみましょう(上の図表を参照)。元手は1000万円と、徳川さんの高級バーよりもだいぶ控えめです。しかも、元手のうち3割は資本金を用意し、借入金を抑えているのがわかります。

 

この話は次回に続きます。

儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている

儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている

新井 健一

かんき出版

すべてのビジネスパーソンに必要な「数字」センスの磨き方 ここに、ひとつの事実があります。それは、一般のビジネスパーソンが知りたい「数字の知識」は、いわゆる「会計数字の知識」とはズレているということです。 ビジネ…

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