今回は、会社の「正確な売上の予測」がむずかしい理由を見ていきます。※本連載は、株式会社アジア・ひと・しくみ研究所の代表取締役で、経営コンサルタントの新井健一氏の著書、『儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている』(かんき出版)より一部を抜粋し、なぜ最強のビジネスモデルが「質屋」なのか、儲けの仕組みを説明します。

さまざまな要因に左右され、変動する「売上」

さて、前回まで高級バーとそば屋の商売を見てきましたが、それぞれの商売の勘所や苦労は、なんとなく想像がつきそうですか?

 

高級バーとそば屋は同じ飲食業なので、商売の勘所や苦労に似たところもありそうですが、たとえば飲食業と建設業、製造業と卸・小売業など異なる業界では、商売の勘所や苦労はまったく違ってきます。さらには、たとえ同じ業種であっても、その会社独特の儲けの仕組みやこれまで歩んできた歴史・経緯によっても商売の勘所や苦労は違ってくるのです。

 

あえてどんな業界にも共通する苦労をひとつあげるとすれば、それは、売上は〝水もの〟であるということでしょう。売上はさまざまな要因で左右され、変動するので、正確に予測することはむずかしいと考えてください。

どんな商売を選ぶかで「かかる元手」は大きく変わる

それぞれの商売の勘所や苦労、いわゆる儲けの仕組みの違いについては、あとでじっくりと見ていくことにして、ここでひとつ確認しておきましょう。

 

いきなりすごく大きな話をします。

 

日本の会社は欧米の会社に比べて、商売をはじめる際の元手を資本金ではなく、借入金に頼る傾向がありました。商売の元手として引っ張ってくるお金のうち、資本金より借入金の割合が(はるかに)高いということです。

 

これにはいろいろな理由があるのですが、この話を聞いたときに「借入金の元本もそうだけど、利息の返済も大変なんだろうなあ。お金のやりくり大丈夫? きちんとお金回っているのかな?」と思えたら、ビジネス数字力が確実にアップしています。

 

<POINT>

どんな商売を選ぶかで、かかる元手が違ってきます。元手はただではありません。そして売上は〝水もの〟です。

 

さて、ここまでのところを振り返ってみましょう。

 

実はみなさん、少なくとも自分の会社のビジネス数字については、いわゆる会計の専門家より熟知しているものです。よく会計の研修で自社の決算書分析をお願いすることがあるのですが、みなさん自社の数字をながめて「この数字は、こういうことだ」「あれは、ああいうことだ」とすぐに答えてくれます。

 

ちなみに、少なくとも私レベルでは、決算書を見ただけでみなさんの会社の子細な事情までは到底わかりません。

 

しかし、私はちょっとだけみなさんと違う見方ができるのです。それは、〝比較すること〟です。たとえば、同業他社とみなさんの会社とか、他業種とみなさんの業種とか、です。

 

徳川さんの会社も中山さんの会社も、比較してみてわかることがたくさんありました。ですから、ビジネス数字力をアップするひとつの方法は、比較の視点や引き出しをいっぱい身につけることにあるといえます。

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