長期金利の決定要因となる、経済成長・物価への「予想・期待」

今回は、経済成長や物価に対する予想や期待が、長期金利の決定要因となる理由を見ていきます。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

企業の資金調達ニーズの高まりで、長期金利に上昇圧力

ここまで、長期金利の決まり方や金利と期間の関係をみてきました。長期金利は多くの要因により決まりますが、決定要因として特に重要なのは、市場参加者の経済成長や物価に対する「予想・期待」です。

 

企業が長期資金を調達するのは、設備投資や他の企業を買収するなど、長期的な事業に投資するためです。当然のことながら、その事業への投資から得られる収益が借り入れコストを上回ると考えるので、企業は長期資金を借り入れます。

 

長期的に高い成長が期待できる国ならば、魅力的な投資機会が多く存在しますので、企業の資金調達ニーズが高まりやすく、長期金利に上昇圧力がかかることになります。逆に、あまり高い成長が期待できない国では、魅力的な投資機会は限定されるため、企業の資金調達ニーズは高まらないでしょう。

 

[図表1]

 

 

「物価上昇率>債券利回り」の予想で長期金利は上昇

投資家が債券を購入(長期資金を運用)するのは、投資家が予想する将来の物価上昇率よりも債券の利回りのほうが高いため、今お金を消費してモノを買うよりも債券で運用するほうが有利になるからです(『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』39ページの図表2-3参照)。低い物価上昇率を予想する投資家が多いと、資金運用ニーズが高まり、長期金利は低下します。逆に、物価上昇率が債券利回りよりも高くなると予想する投資家が多いと、資金運用ニーズが後退し、長期金利は上昇します。

 

このように、長期資金の調達者と運用者が将来の経済成長(景気)や物価上昇率を予想あるいは期待して行動することが、長期金利に大きく影響します。 
 

[図表2]

 

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筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

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