イールドカーブ(利回り曲線)を使った金利の見方

今回は、イールドカーブ(利回り曲線)を使った金利の見方を取り上げます。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

各期間の金利の変化が一目でわかる「イールドカーブ」

前回、長期金利は短期金利と決まり方が異なると説明しましたが、イメージが湧きにくいかもしれません。そこで、金利とその期間との関係を、「イールドカーブ(利回り曲線)」というグラフで、視覚的に捉えてみましょう(図表参照)。イールドカーブを描くことで、その時点の各期間の金利が、短期から長期へ向かってどのように変化しているのかが、一目でわかります。

 

まず、グラフの縦軸を債券の利回り(金利)、横軸を残存期間とします。次に、各期間の債券利回りの点をグラフ上に描きます。最後に、その点をつなぐ線を描きます。この線が緩やかな曲線(カーブ)を描くことから、イールドカーブと呼ばれます。なお、イールドカーブを描く際の利回りは、同種の債券にする必要があります。一つのイールドカーブに、信用力の異なる国債と社債を混ぜたり、通貨の異なる債券を混ぜてはいけません。

 

[図表]イールドカーブの例

 

 

 

出所:Bloomberg
出所:Bloomberg

 

 

イールドカーブが変化する理由は主に2つ

イールドカーブの形状はさまざまに変化します。前回で触れたように、その変化のしくみには主に2つの考え方があります。一つは、イールドカーブは左下から右上へ上昇する場合が多いことから、資金の出し手が長期間にわたって資金を債券に固定し自由に使えなくなる見返りとして、長期の債券ほど高い利回り(流動性プレミアム)が要求されるという考え方です。

 

もう一つは、長期金利は市場参加者の短期金利予想の積み重ねが反映されているという考え方です。例えば、まれなケースですが、急速な金利低下が予想される場合に、イールドカーブが右下へ低下することがあります。これは、予想が反映されていることをよく表しています。

 

現実のイールドカーブのすべてをこの2つの考え方だけでは説明できません。しかし、金利と期間のしくみの基本は、この2つの考え方で整理できます。このような、金利とその期間の関係を専門用語で「金利の期間構造」といいます。

 

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筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

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