各期間の金利の変化が一目でわかる「イールドカーブ」
前回、長期金利は短期金利と決まり方が異なると説明しましたが、イメージが湧きにくいかもしれません。そこで、金利とその期間との関係を、「イールドカーブ(利回り曲線)」というグラフで、視覚的に捉えてみましょう(図表参照)。イールドカーブを描くことで、その時点の各期間の金利が、短期から長期へ向かってどのように変化しているのかが、一目でわかります。
まず、グラフの縦軸を債券の利回り(金利)、横軸を残存期間とします。次に、各期間の債券利回りの点をグラフ上に描きます。最後に、その点をつなぐ線を描きます。この線が緩やかな曲線(カーブ)を描くことから、イールドカーブと呼ばれます。なお、イールドカーブを描く際の利回りは、同種の債券にする必要があります。一つのイールドカーブに、信用力の異なる国債と社債を混ぜたり、通貨の異なる債券を混ぜてはいけません。
[図表]イールドカーブの例
イールドカーブが変化する理由は主に2つ
イールドカーブの形状はさまざまに変化します。前回で触れたように、その変化のしくみには主に2つの考え方があります。一つは、イールドカーブは左下から右上へ上昇する場合が多いことから、資金の出し手が長期間にわたって資金を債券に固定し自由に使えなくなる見返りとして、長期の債券ほど高い利回り(流動性プレミアム)が要求されるという考え方です。
もう一つは、長期金利は市場参加者の短期金利予想の積み重ねが反映されているという考え方です。例えば、まれなケースですが、急速な金利低下が予想される場合に、イールドカーブが右下へ低下することがあります。これは、予想が反映されていることをよく表しています。
現実のイールドカーブのすべてをこの2つの考え方だけでは説明できません。しかし、金利と期間のしくみの基本は、この2つの考え方で整理できます。このような、金利とその期間の関係を専門用語で「金利の期間構造」といいます。