前回は、成功するコンパクトアパートの条件について解説しました。今回は、コンパクトアパート投資で高利回りが実現できる理由を見ていきます。

部屋数を増やして家賃を下げ、「薄利多売」に

前回でも触れましたが、「コンパクトアパート」は同じ敷地面積の中により多くの住戸を入れることができ、これは顧客である入居者だけでなく、オーナーにとっても投資の観点で大きなメリットがあります。

 

つまり、一室ごとの賃料は面積が狭いため一般的なアパートより安いのですが、建物全体の収入としては部屋数が多くなるので一室が広めのアパートより増えます。

 

部屋を増やして家賃を下げ、薄利多売の発想で高利回りを実現するわけです。

 

実際に投資用不動産の専門サイトで売りに出ていた新築アパートをもとに、シミュレーションしてみましょう。

 

[図表1]木造3階建て、1K6戸の場合の間取りとレントロール

 

この新築アパートは、109㎡敷地に木造3階建ての建物が建つもので、部屋数としては1Kが合計6戸となります。

 

各部屋の広さは約29㎡で家賃は7万3000円から7万6000円(共益費3000円は別)の想定です。月額の収入は共益費と合わせて46万6000円、年間559万2000円なので、販売価格9900万円に対する表面利回りは5.64%となります。

総戸数を増やして、表面利回りをアップ

この土地に「コンパクトアパート」を企画するとどうなるでしょうか。

 

[図表2]「コンパクトアパート」で企画した場合の間取りとレントロール

 

 

まず、建物は木造2階建てながら1室11㎡前後で総戸数が6戸から10戸へ、4戸も増えます。想定賃料は1戸当たり5万円から5万7000円(共益費3000円は別)と先ほどより2万円ほど低いものの、月額の収入は共益費と合わせて全体で56万5000円、年間では118万8000円も多い678万円となります。販売価格が前者と同じ9900万円だとすると、表面利回りは6.84%となり1.2%もアップするのです。

 

なお、6戸が10戸に増えることで建築費や維持管理費が気になるかもしれません。

 

建築費についていえば、木造3階建ては木造2階建てより階数が増える分、柱や梁を太くしなければなりません。また、木造3階建ては防火上、外壁のサイディングの防火性能や室内で使う石膏ボードの厚さを厚くしなければなりません。結果的に、木造3階建てで6戸と木造2階建てで10戸では、建築費の差はほとんどないといっていいでしょう。

 

維持管理費については、入居者の入れ替え時に必要な壁クロスの貼り替えや、エアコン、給湯器などのメンテナンスなどの点で、戸数が多い2階建て10戸のほうが確かにコストアップになります。しかし、いま挙げたようなコストは毎年発生するわけではなく、また全体の賃料収入は2階建て10戸のほうが多いのですから、影響は軽微です。さほど気にする必要はないでしょう。

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

山上 晶則

幻冬舎メディアコンサルティング

2016年3月に不動産調査会社「タス」が行った調査によると、首都圏賃貸アパートが「空室率30%超」となっています。今後もさらに日本の人口減少は続き、その一方で貸家着工数は増え続けているため、多くの不動産オーナーが空室…

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