前回は、スモールM&Aの「資金調達」にはどんな手段があるのかを解説しました。今回は、スモールM&Aを活用した事業承継対策について見ていきます。

国内中小企業の6割は後継者が不在!?

ここ最近、新聞紙上などで廃業問題が取り上げられているのが目につきますが、少なくとも筆者が中小企業オーナーと接し始めた2,000年前後から言われ続けているテーマです。少子化、過疎、空き家問題など同じように長らく論じられ、その解決策は未だ見えていません。


後継者不在の企業数は、国内中小企業の66.1%(帝国データバンク調査)とも、127万社(経済産業省分析、日経朝刊より)とも言われていいます。調査方法、時期により数字にバラツキにありますが、多くの中小企業が廃業問題を抱えていることは間違いありません。


そもそも、廃業は特別なことなのでしょうか。会社の平均寿命は人の寿命よりも短いのが現実です。ある調査では国内法人の寿命は平均で25年とのデータがありますが、筆者の感覚では更に短いと感じています。廃業は是か非というような議論ではなく、自然現象とも言えるかもしれません。


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ただし、会社と人が違うところは、法人や事業という「ウツワ」や有形無形の「モノ」があるため、承継という手法を使えば、人間の寿命を大きく上回ることが可能です。存命する日本最高齢の方は、鹿児島に在住する女性で117歳です。一方、法人における最高年齢は、飛鳥時代に創業した大阪の株式会社金剛組で1,400年を超えています。

 


スモールM&Aを推進する立場からすれば「外部承継」を推したいところですが、そう簡単ではありません。廃業問題が顕在化する時は、代表者の体調不良、売上急減、資金繰り悪化等の経営課題が伴ってきます。また、時間的に切羽詰まったケースもあり、情報不足もあり、買い手には敬遠されてしまいます。あと半年、一年早ければと、外部承継が出来たという事例も多々あります。


身近にスモールM&Aアドバイザーが増えることが解決のひとつになると感じています。ただし、業務効率化・マニュアル化が難しく、ビジネスとしてスケールしにくい分野と言われており、プレイヤーはまだまだ少ないのが現実です。ただし、ここ数年、この課題に国・自治体が向き合い、多くの施策を出しているのを感じます。筆者も一年前から、士業を中心にスモールM&Aの専門アドバイザー候補を集め、二日間の勉強会を東京・名古屋・大阪で開催しました。約100名の方が実務を学び活動を開始しています。国、民間が連携し、外部承継を中心とした廃業対策を進めることが重要と感じます。


同時に、企業側も早いタイミングで承継対策を実施しすることが大事です。とはいえ、経営者の立場に立てばどうしても先送りしたいテーマであることには間違いありません。ついつい後手にまわってしまいます。やはり外部の力を借りて、客観的な視点から「ビジネス・資産・損益」を「見える化」することが必要です。

「企業価値評価」のために有効な二つのツールとは?

スモールM&Aアドバイザー養成講座に参加した方々の中には、国の施策に精通する方も多く、講師である筆者が逆に色々と教えて頂きました。二つほど、有効と感じたツールを案内致します。いずれも中小企業庁のHP等で内容を確認できます。


一つ目は、ビジネス・事業面について分析する「知的資産経営」というツールです。人材、技術力、顧客基盤、ブランド等の目に見えない資産を分かりやすくまとめることができます。社内でつくると、どうしても主観的になりがちなので、専門家に依頼するのが良いでしょう。


二つ目は「ローカルベンチマーク」(通称ロカベン)という主に数字面の分析に着目したツールです。「会社の健康診断」という切り口でご存じの方もいるかもしれません。売上持続性、収益性、生産性、健全性、効率性、自己資本比率等を一定の指標に基づいて分かりやすくします。


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実は、この二つの分析が揃えば、定性・定量分析の基礎情報が得られるため「企業価値評価」がしやすくなります。言い換えれば、対象会社がいくらで売却できるかの目安がつきます。分析するツールは様々ありますが、標準化したものを多くの方が使うことにより、認知度が増し、M&Aのおける案件化作業が効率化すると予想します。


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「果報は寝て待て」ということわざがありますが、M&Aにおいては、きちんと準備しておかなければ、良い話もすぐに逃げてしまいます。まだ余裕がある内に、売れる状態、引き継げる状態にしておく必要があります。


「知的資産経営報告書」「ローカルベンチマーク」などから、専門家による企業価値評価が出た場合、その価格は、ひょっとしたら経営者が思うよりも低いかもしれません。そこに気づくだけでも意味があります。理想の価格に持っていくために、新たな目標設定すれば良いのです。ひょっとしたら経営が改善し、売り手から買い手にまわるかもしれません。そんな事例もたまにあるのが、スモールM&Aの面白いところです。

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