ガス漏れや不完全燃焼を察知させる「臭いづけ」
プロパンガスは、同じ量の空気を1とした場合、約1.5倍の重さがあります。したがって、空気中にプロパンガスを放つと、低いところに滞留します。一方水よりは軽いので、ボンベに入った状態で水に浮きます。
プロパンガスには、本来色はありません。臭いもありません。これについては、意外に思う人も多いかもしれません。というのも、市販されているプロパンガスからは、不快な臭いを感じるからです。
実はあのいやな臭いは、ガス漏れや不完全燃焼がすぐに察知でき、事故を防げるように、あとからわざわざつけたもので、それは都市ガスも同様です。空気の1000分の1の濃度でも人間の臭覚で感知できるくらいの臭いをつけることが、高圧ガス保安法によって定められているのです。
プロパンガスは次の方法で作られます。
●採掘した天然ガスからコンデンセートガス(原油の一種)を取り出す。
●採掘した石油からボイルオフガスの(外部入熱で気化するガスの一種)を取り出す。
などです。現状では、石油から7割ほど、天然ガスから3割ほど作られています。
プロパンガスが需要者の家庭に届くまで
また、プロパンガスが需要者に届くまでのプロセスは次の通りです。
①海外で作られたプロパンガスは、低温にされ、オーシャンタンカー(外航船)で国内輸入基地(1次基地)に運ばれる。
②国内で作られたプロパンガスは生産された基地(1次基地)で低温貯蔵される。
③低温貯蔵されたガスは常温に戻され、コースタルタンカー(内航船)で、日本各地の2次基地に運ばれる。
④ガスは2次基地でタンクローリーに充填される。
⑤全国にさらに多くある充填所(3次基地)に輸送される。
⑥充填所でボンベに小分けされる。
⑦ボンベを各家庭に配達する。
なお、工場をはじめとする需要量の多い大口の顧客にはタンクローリー、あるいはコースタルタンカーで直接運ぶこともある。このプロセスは、基本的に、3種類の業者によって成立しています。プロパンガスを輸入する元売業者、容器に充填する卸売業者、各家庭にガスを販売する小売業者です。
元売り、卸、小売りと進むごとに、業者数は多くなります。また、卸と小売りを兼ねている会社もあります。タンカーで家庭にガスを運ぶケースはさすがにありませんが、タンクローリーで各家庭に直接運ぶ方式の会社も見かけるようになりました。