都市ガスの主原料はメタンガス
前回の続きです。
一方、都市ガスは天然ガスで、主原料はメタンガスです。メタンガスというと、戦後すぐの工場地帯のよどんだ川底からブクブクと湧いてくる臭いガス、というイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし、あの悪臭はガスではなく硫化水素が発していて、ガスそのものは無臭です。家庭用のガスは、機器が不完全燃焼になると臭いますが、プロパンガスと同様、ガス漏れや不完全燃焼などのトラブルを察知できるように、あえて不快な臭いをつけているのです。
都市ガスの成分はガス会社によって大きな違いはありません。その多くは13Aという規格です(数字は熱量、英語文字は燃焼速度を表す。ちなみにAは速度が遅い)。その内訳は、メタンガス約90%、エタンガス約6%、プロパンガス約3%になっています。日本の都市ガス会社が供給する天然ガスは、液体状になったLNGを輸入したものです。
LNGの輸入基地には「電力会社」が関わっている!?
LNGの輸入のプロセスは、プロパンガスよりも複雑で、購入して日本に運ぶだけではなく、現地での製造から日本が関係しています。
輸入基地についても、日本の複数のエネルギー会社が共同で運用しているケースが主流です。しかも、たとえば、東京ガスと大阪ガスと東京電力というようにガス会社と電力会社が連合しているケースも珍しくありません。いわば呉越同舟です。
このようにLNG基地に電力会社が関わっていることが、都市ガス自由化に際して、電力会社が参入しやすい状況を作っています。電力会社は自由化以前からガスの基地を使用していたわけです。
[図表1]都市ガスとプロパンガスの届け方の違い
LNGは、少ないながらも、日本国内でも生産されています。新潟県の東新潟、松崎、南長岡、東柏崎や、秋田県の申川、八幡、千葉県の東金、九十九里、茂原などです。しかし、どこも小規模で、日本の供給量全体の3%ほどにすぎません。
都市ガスは空気より軽く、ガス比重は約0.6。空気中に放つと、上に昇っていきます。液化は難しく、マイナス162度まで冷却しなければなりません。そのため、気体のまま、ガス管によって消費者のもとへ運ばれます。ガス管があるエリアは、都市部を中心に日本の全国土の約5%です。
[図表2]都市ガスとプロパンガスの違い