前回は、安全面の強化を重ねてきた「プロパンガス」変革の歴史を見ていきました。今回は、プロパンガスの「集中監視システム」について見ていきます。

プロパンガスの状況を24時間体制で確認できる設備

システムプロパンガスの安全性は、公的機関の力を借りながらも、プロパンガス業界全体の自助努力の成果もあって、飛躍的に高くなりました。

 

その後のプロパンガス業界の保安・安全は、他業種と同様、デジタル化が進みました。その象徴が集中監視システムです。私の会社では「ウォッチング365」と命名していますが、消費者のプロパンガスの状況を24時間体制で確認できる設備です。

 

[図表]集中監視システムの仕組み

 

各家庭、および会社やレストラン、工場のマイコンメーターと集中監視システムを電話回線で結び、ガス漏れ、危険な使用、そのほか設備のトラブルが生じたときには、すぐに判明するようになっています。

 

ガス栓の誤開放、ゴム管がはずれてガスが異常に流出、お風呂の消し忘れによる異常な長時間使用、ガスコンロ使用時の立ち消えや故障によるガス漏れなどが起きると、直ちに遮断し通報します。専門的な技術が必要なトラブルであれば保安要員が向かいます。

通報なしで異変を察知し、速やかに対応することが可能

プロパンガス事業者は、所在地およびその会社が持つ各地の拠点から直線距離で20キロメートル以内の家庭や事業所としか契約を結んではならないことが法律で決められています。20キロというのは、なにかトラブルが生じたときに、自動車を運転して30分以内で駆けつけられる距離。それ以上はリスクがあると判断されているわけです。

 

ただし、例外も定められています。集中監視システムを持ち、その機能が顧客の50〜70%以上をカバーしていれば、インセンティブとして、営業圏が半径20キロの倍の40キロまで許されます。

 

集中監視システムがあれば、顧客からの通報がなくても異変を察知できて、速やかに対応できるからです。それだけこのシステムへの評価が高いという証しです。

 

現実的には、24時間体制の集中監視システムは、設備にも人件費にも大変なコストがかかるため、まだ取り入れていないプロパンガス会社もあります。しかし、このシステムは、大きな可能性を持っています。フル活用させれば、警備関係はもちろんのこと、少子高齢化により今後ますます需要が増える介護ビジネスにも利用できるでしょう。

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