前回は、プロパンガスを燃料とする「LPガス車」のメリットを取り上げました。今回は、プロパンガスの安全を担保する「様々な設備」の概要を見ていきます。

不適切な使用状態の察知で直ちに「ガスを遮断」

プロパンガスの特長であり、ほかのエネルギーと比較しての強みに、安全性が挙げられます。

 

まず、家庭に届けられるボンベそのものには、見た目がシンプルでありながら、次のように何重にも事故を防ぐ装備が施されているのです。

 

①マイコンメーター

家庭におけるプロパンガスの使用量を表示するのがマイコンメーター本来の役割。そして同時に、コンピュータによってさまざまな管理システムが機能している。

 

過大流量、異常長時間使用、地震による揺れのさなかのガス使用・・・など、不適切な使用状態を察知すると直ちにガスを遮断する。

 

また、後述のガス漏れ警報器、CO警報器との連携ができ、このような外部装置が異常を察知してもガスを遮断する。さらに、電話回線とつなぐことで、ガスの状況をどこでもチェックすることも可能。

 

②ガス放出防止器

ボンベの出口部に設置する防止器。地震をはじめ大規模自然災害が起きたとき、容器の転倒やなにかに衝突して、配管やホースが破損した際、プロパンガスが大量に放出されるのを防ぐ。防止器には過流式と張力式の2タイプがある。

 

過流式では、トラブルによりガスが大量に流れると、その流れの力を利用して弁がふさがり、放出がストップする。張力式では、ボンベと壁を鎖で接続して固定しておき、ボンベが転倒したときに、その張力で弁がふさがり、放出がストップする。

 

③対震自動ガス遮断器

地震対策の遮断器。大きな揺れを察知し、プロパンガスの供給を自動的に遮断し、湯沸かし器やストーブなど燃焼器具の燃焼を止める。

ガス漏れ警報が鳴り続けると、遮断弁が閉じる仕組みも

④ガス漏れ警報器

センサーでガス漏れを検知して、ブザーや音声で知らせるシステム。なお、ガス漏れ警報が25~60秒鳴り続けると、遮断弁が閉じる連動システムもある。

 

⑤CO警報器

不完全燃焼による一酸化炭素(CO)の発生を察知して、警報を発する装置。一酸化炭素濃度が50~250ppmで換気注意報、150~550ppmで換気警報を発する。

 

⑥ヒューズガス栓

ボンベの配管部分に設置され、ゴム管との接続部にある金属製のガス栓。ゴム管がはずれてガスが漏れないように過流出安全機構(ヒューズ機能ともいう)を備えている。シリンダの内部には、ヒューズボールという玉状のものがあり、過流出があると管内をふさぐ仕組みになっている。ラムネ瓶のビー玉の原理を応用した装置。

 

[図表]家庭におけるプロパンガス設備の構成

 

このように、たった1本のボンベを使うために、これでもかこれでもかと、安全装置が何重にも取りつけられています。

 

なぜ、プロパンガスはこれほどまでに厳重なのか―。そこには1970年代までにさまざまな事故を経験し、そこから学んだ知恵が活かされているのです。

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