今回は、株式投資で損を最小限に抑えるための「試し玉」の役割について見ていきます。※本連載は、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役の林知之氏の著書、『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)の中から一部を抜粋し、個人投資家のための「うねり取り」実践のポイントを紹介します。

「損を抑えることに徹する」が基本

損小利大と聞くと、「とにかくデッカく儲けるんだな」と考える人がいるだろう。取れるときには取る、これは正しいが、そうそう期待通りに大幅な利益を得る機会は少ない。だから、基本としては、損を抑えることに徹するのだ。

 

落ち込むほどの連敗で大負けした、これが最後と覚悟を決めて勝負に出てガツンと大勝ち──こんなストーリーは、映画、ドラマ、マンガの世界だけのこと。読者自身が携わっている仕事のことを考えてほしい。ドラマ化して面白いようなエピソードなど皆無、淡々とした日常が静かに流れているものだろう。

 

値動きだけを見ると極端な世界に感じられるが、シゴトとして取り組んだ結果の「損益」は、実に地味なものなのだ。地味な利益をコツコツと積み重ねていくしかない。そのためには、大きく負けないこと。地味に頑張って、経費を抑えるべく丁寧に行動するのである。

メリハリのあるトレードのために行動は計画的に進める

とにかく、負けトレードの経費支出を抑制する、そのための試し玉なのだ。「あれっ、見込み違いかな」と思ったら、数量が少ないうちに切ってしまい、潔く出直す。この選択肢があれば、まず当初の予測に固執しない。

 

雨は降らないと考えてカサを持たずに出かけたら降られてしまい、ズブ濡れのまま歩いている・・・そんな人はいないが、株式市場にはたくさんいるのだ。そういう人たちと決別しなければならない。

 

それを実現する“カタチ”に、自分の身を置いてみてほしい。

 

試し玉からスタートし、状況を見ながら増し玉を検討する。いつでも全面撤退する覚悟がある一方で、「乗れた」と判断したら、粘り腰で利を伸ばす。こういった、メリハリのあるトレードのために、自分自身の行動はすべて計画的に進めるのだ。

 

試し玉の説明として、「試食」や「試着」を例に出した。試食してイメージ通りでなかった、試着したら似合わなかった・・・それだけで、「時間をムダにした」と地団駄を踏む人もいないだろう。トレードだって同じこと。日常生活にある当たり前のことを当てはめれば、トレードにおける“正解”にたどり着く。遠回りしたり、進む方向を誤るのは、受け身の姿勢でちまたの情報をうのみにするからである。

本連載は、林知之氏の著書『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

林 知之

マイルストーンズ合資会社

価格の自律的な動き、つまり自然に発生する変動を利用して利益を上げる「うねり取り」は、数多くのプロ相場師が好んで利用している。この「うねり取り」による売買法を基本から実践まで、幅広く、丁寧にわかりやすく解説したの…

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