「損を抑えることに徹する」が基本
損小利大と聞くと、「とにかくデッカく儲けるんだな」と考える人がいるだろう。取れるときには取る、これは正しいが、そうそう期待通りに大幅な利益を得る機会は少ない。だから、基本としては、損を抑えることに徹するのだ。
落ち込むほどの連敗で大負けした、これが最後と覚悟を決めて勝負に出てガツンと大勝ち──こんなストーリーは、映画、ドラマ、マンガの世界だけのこと。読者自身が携わっている仕事のことを考えてほしい。ドラマ化して面白いようなエピソードなど皆無、淡々とした日常が静かに流れているものだろう。
値動きだけを見ると極端な世界に感じられるが、シゴトとして取り組んだ結果の「損益」は、実に地味なものなのだ。地味な利益をコツコツと積み重ねていくしかない。そのためには、大きく負けないこと。地味に頑張って、経費を抑えるべく丁寧に行動するのである。
メリハリのあるトレードのために行動は計画的に進める
とにかく、負けトレードの経費支出を抑制する、そのための試し玉なのだ。「あれっ、見込み違いかな」と思ったら、数量が少ないうちに切ってしまい、潔く出直す。この選択肢があれば、まず当初の予測に固執しない。
雨は降らないと考えてカサを持たずに出かけたら降られてしまい、ズブ濡れのまま歩いている・・・そんな人はいないが、株式市場にはたくさんいるのだ。そういう人たちと決別しなければならない。
それを実現する“カタチ”に、自分の身を置いてみてほしい。
試し玉からスタートし、状況を見ながら増し玉を検討する。いつでも全面撤退する覚悟がある一方で、「乗れた」と判断したら、粘り腰で利を伸ばす。こういった、メリハリのあるトレードのために、自分自身の行動はすべて計画的に進めるのだ。
試し玉の説明として、「試食」や「試着」を例に出した。試食してイメージ通りでなかった、試着したら似合わなかった・・・それだけで、「時間をムダにした」と地団駄を踏む人もいないだろう。トレードだって同じこと。日常生活にある当たり前のことを当てはめれば、トレードにおける“正解”にたどり着く。遠回りしたり、進む方向を誤るのは、受け身の姿勢でちまたの情報をうのみにするからである。