「そろそろ上がる」と考えた銘柄をわざとカラ売りする
狙っている銘柄が下がってきて、200円前後で往来していたとする。そして、「ここが底で、そろそろ上がる」と予測したと仮定しよう。まずは1,000株買ってみる。試し玉だ。
試し玉によって臨場感が高まり、値動きを受け止める感覚が敏感になる。「いよいよ始まった」と真剣になる。
試しに建てるのだから、上がると思ったら少ない数量を買ってみるのがふつうだ。だが、あえて逆の「売りポジション」を試し玉にする人もいるのだ。
「上がるだろう」と予測したら、それが当たってほしいと考えるのが人情だ。自分の予測に固執する愚を避けるための試し玉だが、たとえわずかな数量でも、「当たってほしい」という心理はゼロではない。だから、わざと1,000株カラ売りしてみるのである。
「今が底だろう」「上がると思う」「買いだ!」と考えている銘柄にカラ売り玉を建て、そのカラ売り玉を持っていることで“イヤな感じ”がしたら、それこそ自分の見込みは正しいとの確証が得られる。
売りと買いを建てる「両建て」の確率は五分五分だが…
前にも述べたように、個人投資家は自由だ。その自由を、有意義に使わなくてはいけない。試し玉の利用もそうだし、試し玉を売り買い逆にするのもそうだ。
本業が忙しかったら、売買を休んでもいい(休むべきだ)。自由であるがゆえに、「勝負!」なんてムチャをやる人が多いが、一発で大きくへこんだら取り戻すのにひと苦労する。資金の大半を失ったら、マーケットから退場しなければならない。
自由気ままなどというが、責任ある立場なのである。最後の決め手となる人間の感覚や感情、それらの偏りという現実を大切にした実践論をまっすぐに活用するべきだ。
ちなみに、両建てからスタートする人もいる。とりあえず、例えば1,000株ずつ売りと買いを建てるのだ。そして、その後の動きに合わせてポジションを操作していくということだが、私は個人的に賛成しにくい。
予測の当たり外れは五分五分、買い戦略の試し玉がカラ売りという方法もあるのだから両建てもいいじゃないか・・・こう反論されるかもしれないが、五分五分だからこそ“確信”をもってスタートしたい、見込み違いは仕方がないので「経費」を支払うつもりで損切りする、こういう明確な気持ちが重要だと考えるのだ。