少子化にもかかわらず、都内の学生は増加
一人暮らし世帯の増加には、さまざまな要因がありますが、そのひとつが大学の都心回帰です。高度成長期の1970年代ごろまで、郊外にキャンパスを移転する大学が相次ぎました。ところが今は、その逆流現象が起きているのです。
このところの少子化によって、大学も学生の獲得が大きな課題になっています。交通の便が悪く、利便性の低い郊外のキャンパスは学生に好まれません。利便性の高い都心にキャンパスがあったほうが、学生を獲得しやすいということになります。そこで最近は、都心へキャンパスを移転させる大学が増えているのです。
たとえば、2013年には明治大学が中野区に、拓殖大学が文京区にキャンパスを整備しています。また、帝京平成大学は2008年に池袋にキャンパスを新設したのに続き、2013年には中野にもキャンパスを新設しています。
この傾向が強まると、郊外に残った大学は、さらに学生の獲得が難しくなります。結果、今後もキャンパスの都心回帰が進むとも考えられているのです。
大学移転によって、家賃水準が大幅に下がる地域も
大学の都心回帰は、賃貸住宅の家賃相場にも影響を与えています。1978年に中央大学が文系学部を八王子市に移転しました。
ところが、法学部を2022年までに都心に移転させる中長期事業計画を公表しています。拓殖大学も2015年に八王子キャンパスの一部を文京区に移転しています。この影響で八王子市では賃貸住宅の家賃水準が大幅に下がっています。