毛包の細胞の増殖に効果がある「IGF-1」
前回の続きです。
●IGF-1(インスリン様成長因子-1)
毛包の細胞の増殖と、毛周期における成長期の促進に効果大。大豆イソフラボンにより、分泌が促進されることが発見されています。
●TGF-β1
髪の成長期から退行期に移行する現象を促進します。男性ホルモンの作用で毛乳頭細胞から産生されるため、TGF-β1を抑制する育毛剤の研究も行われています。
先の説明のとおり、細胞成長因子と呼ばれているものでも、細胞の増殖を後退させるものがあります。それがTGF-β1です。じつは今ほど研究が進んでいなかったときは、髪によい「細胞成長因子」としてTGF-β1を含む細胞成長因子が治療に利用されていました。しかし、現在の最新治療ではTGF-β1は治療から取り除かれています。
細胞成長因子を体に取り込むには「注射」が有効!?
健康な髪が生えるために最も重要といえる「細胞成長因子」。細胞増殖因子、グロスファクターとも呼ばれます。これは1990年代以降に急速に研究が進んでいる分野です。私が医学生だった頃には「ソマトメジン(somatomedin)」と呼ばれ、成長ホルモン(somatotropin)を仲介する(mediate)物質という位置づけでした。
成長ホルモンgrowth hormoneは別名somatotropinと言いますが、これはsomato–(体)tropin(刺激)、「体を刺激する物質」という意味から作られた用語です。growth factorはgrowth hormoneが作用するために不可欠な物質で、髪の健康な成長に対しての〝命令〟を出す部分であるともいわれます。
その細胞成長因子を体に取り込むには、どうしたらいいのでしょうか。そのために最も有効なのが注射による方法です。もちろんこれは医療機関でしか受けることができません。
私のクリニックでも、細胞成長因子を注入する注射を行っていますが、その劇的な成果は目を見張るものがあります。実際、私自身も、この注射によって豊かな髪の毛を取り戻した一人です。