前回は、入居需要拡大の追い風が吹く「都心のワンルームマンション」について取り上げました。今回は、なぜ「東京の賃貸需要」は拡大傾向にあるのかを見ていきます。

核家族化が進み、コンパクトマンションが人気に

東京23区への転入超過が進む背景には、私たちを取り巻く生活環境の変化が起因しています。現代においてライフスタイルは多様化の一途をたどっており、それによって東京の賃貸需要は拡大傾向にあるのです。下記の図のようにライフスタイルの変化により核家族化が進んでいるため、そのニーズを満たすコンパクトマンションの人気が高まっています。

 

[図表1]

 

具体的なライフスタイルの変化は、以下の通りで、

 

ⅰ.持ち家志向の低下
ⅱ.高度外国人人材・留学生の増加
ⅲ.単身赴任の増加
ⅳ.外国人旅行者の増加
ⅴ.お年寄りの都心回帰
ⅵ.23区の大学に通う大学生の増加
ⅶ.晩婚化・未婚化

 

といった理由が、単身世帯の増加を招く要因になっています。これらの理由を一つずつ紐解いて、23区の賃貸ニーズの拡大を確認していきましょう。

近年目立つ「持ち家志向」の低下

ⅰ.持ち家志向の低下


「持ち家か? 賃貸か?」衣食住の「住」に関わる永遠のテーマと言えるかもしれません。以前であれば、持ち家を選択する人の割合が多かったのでしょうが、近年では持ち家志向の低下が目立っています。

 

理由は、大きく2つ。1つ目は、近年話題にあがっている空家問題です。マスコミで空家に関するニュースが、多数報道されているなか、自宅の資産価値に疑問を抱いている人も増えています。わざわざローンを組んで購入しても、将来の資産価値が維持できないのであれば、現役時代は便利な都心に賃貸で住み、老後は住み心地の良い地方に住むというライフスタイルを選択する人も増えてきました。

 

2つ目は、子どもを産まない世帯の増加です。子どもが増えなければ、広い家を購入する動機もなく、そのまま利便性の高い都心に賃貸で住むケースも増えています。ライフスタイルが多様化するなか、家を持つことがステータスではなく、利便性の高い地域に住むことがステータスと言えるため、持ち家志向は低下しました。

 

今後も自分のライフスタイルや年代に合わせて、住まいを変えるということは、スタンダードになってくるでしょう。そういった思考の人は、賃貸派に多いことも特徴の1つです。

外国人人材の受け入れを重視する政府

ⅱ.高度外国人人材・留学生の増加


日本で働く外国人労働者の数が4年連続で増え、100万人を超えたという報道がされました。アジアを中心に技能実習制度を通じた人材や留学生、高度人材などが順調に増え、日本企業に勤務しているということです。政府は労働者の確保に加え、先進技術などに取り組むために外国人人材の受け入れを重視しており、今後もさらなる拡大を目指しています。

 

その結果、在留外国人数は200万人を超え、日本に住む外国人は増加傾向です(図表2参照)。このような、優秀な外国人労働者を受け入れる場所も、都心から整備されていきます。地方から仕事を求め若者が流入してくることの他に、海外からも都心への人の流れは、年々増えることでしょう。

 

[図表2]

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仲宗根 和徳

幻冬舎メディアコンサルティング

平成27年1月に相続税の改正が実施され、相続税対策への関心も非常に高まっている中、相続税対策の実用書も数多くあります。 しかし、「相続税評価額を下げることだけを書いてある書籍」や「相続、贈与を詳しく書いた百科事典…

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