ライフスタイルの多様化で、単身赴任者は増加傾向
近年、単身赴任者が増えています。総務省の「就業構造基本調査」(図表1)によると、平成24年の単身赴任者は推計約99万人、女性も15年前から約9割増え、19万人と増加傾向です。
[図表1]
特に、子どもがいる世帯に関しては、単身赴任を選択することが増え、40代では約4割の割合で単身赴任を選択しています(図表2参照)。
[図表2]
ものづくりの機能が海外に次々と移転しているなか、単身赴任先は首都圏に集中しているのも特徴です。以前の日本に比べて、子どもの教育環境に重きが置かれているなか、ご主人が単身赴任しなければならないという状況は仕方が無いことかもしれません。
その他にも、女性の社会進出が進んでいるため、配偶者の仕事の都合で別居を選択することや、ご両親の介護で転勤ができないといった家庭も多いでしょう。日本人のライフスタイルが多様化した現代では、単身赴任という選択肢は今後も増えてくる可能性が大きいと言えます。
ショートステイ用やホテル代わりとしてのニーズも
単身赴任が増加傾向のなか、どのような物件が選ばれるのでしょうか。仕事のために単身赴任するわけですから、ほとんどの人が独身の時のように通勤利便性の高いところに住まいを求めます。
そのため、都心の1K物件や1LDKの物件が選ばれるようになることが多いのです。そして、単身赴任は一人暮らしの引っ越しと違い、家具家電を一から揃え直さなければなりません。企業や単身赴任者は、家具家電を買う一般の賃貸契約よりも家具家電つきの物件に住んでもらった方がトータルのコストが抑えられるため、そちらの方を選択する傾向があります。
そういった意味でも、家具家電が元からついているマンスリーマンションを法人契約で賃貸契約することが多く、人気が集中するのは至極当然のことです。そういったマンスリーマンションも、ワンルームマンションのオーナーから第三者に又貸しできる転貸借という契約形態で借りられていることがほとんどになります。つまり、単身赴任者が増えれば、マンスリーマンション会社からの賃貸ニーズも高まるため、都心ワンルームマンションの賃貸需要は、ますます高まることでしょう。
一人暮らしが増えているから賃貸ニーズが増えているのはもちろん、単純に住まいとしての枠組みから外れたショートステイやホテルの代わりとしても、ワンルームマンションの需要は高まっているということです。もちろん、そういったニーズの恩恵を受けるのは、単身赴任者が多い大企業の周辺であることは間違いありません。