前回は、相続税対策の対象としての「高利回り物件」について考察しました。今回は、相続税対策としての不動産投資物件選びの留意点を見ていきます。

重要なのは「相続税の納税額を抑える」という点

近年、収益不動産を購入する際に不動産会社に相談する人もいますが、ポータルサイトを見て購入する物件を決める人も増えてきました。しかし、ポータルサイトには、価格、物件の所在地そして利回りが載っており、利回りが高い物件ほど優秀な物件であると錯覚している人が増えてきたことは、問題視しなければなりません。

 

相続税対策において重要なのは、収益を追求することではなく、相続税の納税額を抑えることです。高利回りの物件を追求するが故に、抱えてしまうデメリットは大きく2つあります。

 

1つ目のデメリットは、購入後に空室が増加した場合や、高額な修繕費がかかることにより収益性を確保できなくなるケース。

 

2つ目のデメリットは、相続税対策を行っているにもかかわらず、収益性が増えてしまい余計に相続税を納付しなければならないケースがあります。

中古アパートは多額のメンテナンス費用が必要に!?

まず始めに、購入後、空室や修繕費に困るケースですが、空室に関しては先ほど伝えましたので、ここでは修繕に関して伝えます。新築物件は別ですが中古物件を購入する場合、修繕費をあらかじめ組み込んでおくことは必須条件です。そして、同じ中古物件でもマンションとアパートでは、大きな違いがあります。

 

マンションの場合、中古物件でも共用部分の修繕費は、前の所有者が支払っていた修繕積立金を引き継ぐことができるため、室内のメンテナンスだけ注意すれば良いので大きな出費はかかりません。

 

しかし、中古のアパートの場合は、共用部分のメンテナンス費用を前の所有者から受け継ぐという仕組みがありません。よって購入後に共用部分の多額のメンテナンス費用がかかる場合があります。そこには、注意が必要です。共用部分のメンテナンス費用は比較的高額になることが多く、数百万円単位の修繕からエレベーターの交換ともなれば1000万円ぐらいの費用もかかります。あるいは、収益を回収しきる前に、建て替えが必要になるケースもあるでしょう。

 

ここで注意しておきたいことは、そういったメンテナンスが自分の代ではなく、子どもの代に起こり得る可能性もあるということです。相続税対策と資産運用とでは、目的が大きく異なります。相続税対策ではトラブルなく資産を次の代に引き継ぐことが目的となり、資産運用では収益性を上げることが目的です。そこを履き違えたが故に、困っている子世代も多くいることを忘れないでください。

対策に向いているのは「贈与しやすい物件」

次に注意すべきポイントは、相続税対策前に比べ収益が出すぎることによって、相続税の納税額が増えている人がいる点です。これは、相続税対策の目的を履き違えているから、起こる問題であると言えます。

 

仮に、利回り10%の物件を相続税対策用の物件として選択した人がいたとします。その人の相続税にかかる税率が、40%だった場合、回収した分の収益は現金に姿を換え、回収した収益の40%を相続税として取られてしまうため、実質の利回りは6%になるのです。これは、利回りが高い物件を所有している人だけの問題ではなく、貸家として収益物件を選んだほとんどの人は、物件を長期間保有することで収益は出てしまいます。

 

この問題は、収益を得るのが親世代であるから、発生する問題と言えるでしょう。生前贈与をうまく活用し、子世代が収益を得るのであれば、問題回避が可能です。つまり、相続税対策に向いている物件とは、利回りの高い物件ではなく、贈与しやすい物件であると言えます。目的に合わせた物件選びを、ぜひ心掛けてください。

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仲宗根 和徳

幻冬舎メディアコンサルティング

平成27年1月に相続税の改正が実施され、相続税対策への関心も非常に高まっている中、相続税対策の実用書も数多くあります。 しかし、「相続税評価額を下げることだけを書いてある書籍」や「相続、贈与を詳しく書いた百科事典…

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