規模を拡大し、全体の空室率を薄めることにフォーカス
本書『激務の現役医師が実践 レバレッジ不動産投資 自由になるための最速メソッド』の2章にて、「スケールメリット」を生かした物件について触れた。不動産投資の規模が拡大するということは、リスクの分散にもなる。
例えば、20室ある物件を一棟持っていて、ここを満室にしようと躍起になるよりも、20室ある物件を5棟まで増やすのに情熱を注ぎ、100室中98室埋まっているほうが、キャッシュフローが大きくなるのは容易にお分かりいただけると思う。つまりは、満室経営にフォーカスするか、規模拡大して全体の空室率を薄めるか、にフォーカスするかという違いだ。
ずっと満室というのは、もちろん不動産投資家が目指すべきところである。しかし、1室、2室空いているからといって、そこに煩わされ、管理会社に何度も何度も連絡をして、空室を埋めるようガミガミ言う暇は僕にはない。それならば、やはり規模の大きい物件を買うべきだし、もう一棟、もう二棟と買い増しをして分母が増えていけば、1室や2室空室でも、全く気にならなくなるはずだ。
僕は、キャッシュフローを目的とした不動産投資家なので、物件が満室であるかどうかにはそこまでこだわっていない。それよりも、いかに効率よくキャッシュを得られるかに焦点を当てる、いわゆる「投資家マインド」を基に運営するようにしている。
物件を増やしていくことに拒否感を抱く方は、おそらく大家さんのマインドを持っているのであろう。僕のようなタイプの投資家を見ては、「あんなに物件増やしちゃって」とか「もっと足元をみて経営した方が良い」などと思っているのだろう。
もしも、あなたが何かをコンプリートしないと気が済まない性格で、どうしても「満室経営したい」と、こだわりがあるのであればそれで構わない。しかし、潤沢なキャッシュフローを目的とした不動産投資の場合、どんどん規模の拡大を進めていく「投資家マインド」にシフトすべきだ。
数字を正しく見極めないと、不動産投資はジリ貧に・・・
数字というのは都合がよく使えるもので、真実を炙り出すことも、隠すこともできる。1棟20室中20室埋まっている場合は「満室」であるが、5棟持っていてトータル100室中90室埋まっている場合の空室率は全体で10%となる。空室率だけ聞くと、「満室ですか!すごいですね!」と前者を優位に感じてしまうが、規模の大きさを考えると、キャッシュフローが多いのは、当然後者である。
一側面から判断するのではなく、高い目線で物事を見る「鷹の目」を持つことも、投資家マインドの大切な要素である。不動産投資というものは、数字の正しい部分を見極めないと、冗談抜きでジリ貧になっていく。
人によっては、優良物件を1棟持っていればそれでいいという方が多いし、実際に「1棟持っている」というだけで、「すごい」と言われることも少なくない。しかし、はっきり言って、1棟所有しているだけでは、僕の目指す経済的な基盤は構築できない。僕は6棟所有しているが、これからもどんどん買い増ししていきたいと真剣に思っている。
以前、「なんでそんなに不動産を買うんですか?」とある人から尋ねられたことがある。答えは明白だ。「そこに山がある限り登り続ける」登山家と同じで、そこに不動産がある限り、チャレンジし続けたい、と僕は考えている。
不動産投資を進めるとステージが変わって来て、どんどん新しい人に出会う。僕なんかが辿り着けないほど遥か上のステージの方もたくさんいるのだ。自身の人生の幅を広げるのに、不動産投資はとても大きな刺激を与えてくれた。これからもその刺激を受け続けたいというのが、僕の行動の源でもある。