競合に打ち勝つための「ポーターの競争戦略」とは?

前回は、事業の成長・拡大戦略を策定する「成長マトリックス」の概要について取り上げました。今回は、競合に打ち勝つための「ポーターの競争戦略」を見ていきます。

縦軸は戦略ターゲットの幅、横軸は競争優位のタイプ

新規事業を市場に定着させ、成長していくためには、競合との競争に打ち勝っていくことも必要になります。競合の分析に関しては、その具体的な手法として先に5F分析を紹介しましたが、その創案者であるポーターは5つの競争要因の圧力から自社を守り、競争優位性を築くための「競争戦略」についても説いています。

 

すなわち、ポーターは下記の図表に示したように、縦軸に戦略ターゲットの幅を、横軸に競争優位のタイプをとり、広いターゲットに関しては「低コスト」「差別化」それぞれの要素に応じて①コストリーダーシップ戦略と②差別化戦略という異なる戦略をとることを勧めています。また、狭いターゲットに関しては③集中戦略の活用を促しています。

 

まず、①コストリーダーシップ戦略とは、低コスト体質を実現することによって、業界内の競合他社よりも低価格で製品やサービスを提供する戦略です。

 

また、②差別化戦略とは、機能面等において付加価値のある製品・サービスを開発・提供し、競争上の優位性を確保する戦略です。

 

さらに、③集中戦略とは、製品・サービスを特定の地域や顧客層などのセグメントに集中して投入する戦略です。集中戦略の結果、選ばれたセグメントにおいてコスト優位や差別化などを確立することが期待できます。

自動車業界の競争戦略とは?

自動車業界を例にすれば、トヨタ自動車は①コストリーダーシップ戦略を、本田技研工業は②差別化戦略を、スズキは③集中戦略を採用しているといわれています。
 

[図表]ポーターの競争戦略と自動車業界の例

カッティング・エッジ株式会社 中小企業診断士

1986年、慶應義塾大学 経済学部卒業
2003年、神戸大学大学院 経営学研究科博士前期課程(MBA)修了。2008年、MITスローンスクール Executive MOT修了。1986年、日本アイ・ビー・エム(株)に入社。
社内公募によりジョイントベンチャーを立ち上げ、IBMロゴの製品化を実現。1997年、当時、SFAのパイオニア企業であった米国シーベルシステムズ社の日本上陸に伴い、創業メンバーとして参加。西日本地区の責任者としてビジネスを立ち上げる。
その後、2008年、タレントマネジメントのグローバルリーディングカンパニーであった米国サクセスファクターズ・インク(現SAP)にスカウトされ、日本法人を設立し、代表取締役社長に就任。
ゼロからビジネスを立ち上げ、日本におけるタレントマネジメントブームの火付け役の一人となる。その後、日本オラクル(株)の営業本部長を経て、独立。現在は自身の会社であるカッティング・エッジ(株)を設立し、中堅・中小企業を中心に顧問契約を結び、これまでの経験を活かしながら、顧問先の新規事業立ち上げを実践的にサポートしている。

著者紹介

連載新事業を成功させる「事業戦略」の作り込み方

本連載は、2017年4月27日刊行の書籍『超図解!新規事業立ち上げ入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

超図解! 新規事業立ち上げ入門

超図解! 新規事業立ち上げ入門

木下 雄介

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の企業は目下巨大なパラダイムシフトの波に直面しています。 経営環境の変化がめまぐるしい中、企業が生き残るためにはビジネスモデルを再構築し、新たな収益の源泉として新規事業に取り組むことが不可欠です。 新規事業…

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