前回は、新規事業の成否に影響する、製品の「価格戦略」の重要性を取り上げました。今回は、製品の販売網・流通網を構築するための「チャネル戦略」について見ていきます。

従来は「チャネル=パートナー企業」だったが・・・

チャネル戦略では、「チャネル」すなわち開発・製造した製品を顧客に届けるまでの販売網、流通網の構築について考えていきます。

 

チャネル戦略を検討するうえでは、目下、チャネルのあり方が、多様化、細分化の傾向を強めていることを意識しておく必要があるでしょう。

 

すなわち、従来は、チャネルというと、代理店やVAR(Value-added-reseller=付加価値再販業者)といったパートナー企業のことを指すのが一般的でした。しかし、現在では、①直販、②販売パートナー、③コールセンター、④インターネットといった顧客との複数の接点全てが対象となっており、「マルチチャネル」もしくは「オムニチャネル」といった言葉で呼ばれています。そして、これらの複数のチャネルが1つのシステムを介してデータ連携し、シームレスに統合されることにより、営業の生産性を飛躍的に向上させているのです。

顧客ファーストの仕組みが重要なマルチチャネル戦略

その具体的なイメージを示すと図表のような形になります。ここで一番大切なことは、「顧客ファースト」の仕組みであるという点です。つまり、顧客がどのチャネルに接しても過去の商談履歴が売り手側で常に共有されており、再度説明し直すことなく、スムーズに商談を進められるという点にあります。

 

一方、本部レベルにおいても、現場で行われている商談の進捗が全てリアルタイムで把握できるため、タイムリーに効果的な支援を行うことが可能となるわけです。
 

[図表]マルチチャネル戦略

本連載は、2017年4月27日刊行の書籍『超図解!新規事業立ち上げ入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

超図解! 新規事業立ち上げ入門

超図解! 新規事業立ち上げ入門

木下 雄介

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の企業は目下巨大なパラダイムシフトの波に直面しています。 経営環境の変化がめまぐるしい中、企業が生き残るためにはビジネスモデルを再構築し、新たな収益の源泉として新規事業に取り組むことが不可欠です。 新規事業…

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