前回は、ニーズとウォンツを満足させる「製品戦略」の概要について取り上げました。今回は、新規事業の成否に影響する、製品の「価格戦略」について見ていきます。

導入期の価格を決める「市場浸透価格・上澄み吸収価格」

価格戦略では、「製品の価格をいくらに設定するか」について検討します。価格設定は製品の売れ行きに、ひいては新規事業の成否に最も大きな影響を及ぼす要因の1つといえるので、細心の注意が求められることになります。

 

具体的な価格の決め方には、大きく2つのアプローチ法があります。

 

(1)新製品導入期の価格設定方法として、①市場浸透価格(ペネトレーション・プライシング)と②上澄み吸収価格(スキミング・プライシング)を用いる方法が考えられます。下記の図表をご覧ください。

 

①市場浸透価格戦略は、市場シェアを獲得するため、製品の価格を低価格に抑える戦略です。つまり、ボリュームゾーン向けの価格設定法になります。これに対し、②上澄み吸収価格戦略は、製品差別化により競合が少なく、初期段階で早期に資金を回収する必要がある場合にとられる戦略であり、高価格帯の価格設定方法になります。

 

[図表1]製品導入期の価格設定法

一般的な価格設定のアプローチ法とは?

(2)もう1つの価格設定法についてお話しします。こちらのほうがより一般的に(導入期に限らず)使用されていますが、①コストプラス、②競合比較、③バリュープライシングという3つのタイプから構成される価格設定方法です。各タイプの内容については右ページの説明をご覧ください。
 

[図表2]一般的な価格設定のアプローチ法 

本連載は、2017年4月27日刊行の書籍『超図解!新規事業立ち上げ入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

超図解! 新規事業立ち上げ入門

超図解! 新規事業立ち上げ入門

木下 雄介

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の企業は目下巨大なパラダイムシフトの波に直面しています。 経営環境の変化がめまぐるしい中、企業が生き残るためにはビジネスモデルを再構築し、新たな収益の源泉として新規事業に取り組むことが不可欠です。 新規事業…

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