決算期の「値引き合戦」…しわ寄せは下請け業者へ
住宅会社の決算期には、値引き合戦が特に激化します。棟数や売上げが必要なので、利益が出なくてもいいと考えるのです。たとえばハウスメーカーからディーラーへの部材などの買い付け量があらかじめ決められている場合は、目標に到達しないと仕入れ単価が上がるという不利益がありますから、必死です。
もちろん、見積り額が低くなるだけであれば、お客様としては言うことはないでしょう。しかし、いくら赤字覚悟といっても、それでも少しは利益を残そうとするものです。そのため、そのしわ寄せは下請け業者などに行きます。それが考慮すべき二つ目の要素です。
発注金額の一律カットでやる気を失う契約公務店
私が経験したケースで言うと、ハウスメーカーから下請けへの発注金額が一律5%カットなどということがありました。ただでさえ下請けの利益は大きくありません。そこに持ってきて5%カットですから、現場のやる気もなくなります。
大手ハウスメーカーの契約工務店などは受注しなければ経営がなりたちませんから、しぶしぶ受けることになります。そうしたことが施工品質に影響しないとは言い切れないわけです。しかも短工期で済ませなければ割が合いませんから、一刻も早く終わらせたいという作業になります。そして、さらに工務店の利益を差し引いた金額で、技術よりも安さを重視した孫請けへ外注するといった悪循環が生まれるのです。
モチベーションとモラルの低い建築現場から、優れた品質が生まれるはずはありません。値引きという名の代償は、値引き以上の後悔につながりかねないのです。
値引きはその住宅会社の良心がわかるバロメーターです。正当な利益を工事費に組み込んでいれば、値引けない理由を説明でき、大幅な値引きは出来ないはずです。