前回は、「建売り住宅・セミオーダー住宅」を選ぶ際の注意点を説明しました。今回は、希望通りの住宅を手に入れるために、施主のこだわりが重要となる理由を見ていきます。

建売り住宅より安く「注文住宅」を建てることも可能!?

建売り住宅やセミオーダー住宅を考えている人たちは、フルオーダーと呼ばれる、いわゆる注文住宅は高嶺の花だと思っている場合も少なくないようです。

 

しかし、実際には第2回で述べたように、建売り住宅が買えるのであれば、注文住宅を建てることも可能です。やや高めになるケースが確かに多いですが、それほど大きく金額が変わるものではありません。一生に一度か、あっても二度、何千万円もの買い物ですから、より安心して暮らせる、自分たちらしい人生を過ごす住まいに、そのくらいのプラスはかけてもいいのではないでしょうか。住宅ローンを組むとすれば、何十年かの期間で月々のアップ率はそれほどのものではないはずです。

 

私のお客様の中には、建売り住宅よりも安く注文住宅を建てた人もいました。もちろん、その場合は、お客様自身が努力をしました。出来ることは自分でやるという姿勢です。だからこそ、限られた予算で自分が心底望む「家」を持つことが出来たのです。こだわるべきところにこだわれる、それが注文住宅の最大のメリットです。こだわらなくていい部分はこだわらないでコストを圧縮すればいいのです。

手間暇をかけることが「本当の家づくり」に繋がる

ここまで説明してきたように、注文住宅のパートナー選びは簡単ではありません。しかも、そのパートナーだけに頼ることも出来ないのが、注文住宅というものです。施主であるお客様、つまりは読者の皆さんが主役である以上、しっかりと考え、家族で相談し、ニーズを見極め、コンセプトを明確にして、具体的な要望、あるいは実現したいスタイルなどを決めていかなくてはいけません。

 

もちろん、最初からそうしたことまで明確な人はむしろ少数派です。家づくりに動きだした時点では、あまり具体的に考えられていないことがほとんどです。そこで、私たちが「どんな生活がしたいか」「家族の距離感はどのように考えるか」「今、どのような不便を感じているか」などと質問していき、その答えを聞いて、それらの課題を解決する、あるいは要望を実現するための具体的なプランに落とし込んでいきます。何をどういう順序で、どういう点を優先して考えていけばいいかを提案していきます。

 

ただ、そうした提案を吟味し、本当にそれで納得出来るかどうかを施主であるお客様は考えなくてはなりません。そのためには、細部まで含めて一緒に詰めていくことが重要なので、打ち合わせ回数は何十回とふくらんでいきます。

 

確かにそれは、忙しい中で時間も取られることですし、簡単ではありません。しかし、何千万円もかける買い物、しかも建売り住宅ではなくゼロから造っていくのであれば、そうした手間暇は仕方がない、むしろ、それが嬉しいというふうにならなければ、本当の家づくりは楽しめないと思います。そこははっきりと申し上げたいのです。

本連載は、2017年4月12日刊行の書籍『改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

貞松 信人

幻冬舎メディアコンサルティング

人生を左右するほどの大きな買い物である「家づくり」。「家づくり」は購買経験を積むことが出来ないため、何が正しくて、何を基準にすれば良いかわからない、とても難しい買い物です。 あるアンケート調査では、注文住宅を…

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