今回は、売上総利益の「金額」と「率」を正確に把握する方法を見ていきます。※本連載は、税理士法人古田土会計の代表で、公認会計士・税理士の古田圡満氏の著書、『経営計画は利益を最初に決めなさい!」(あさ出版)の中から一部を抜粋し、社長自らが経営計画を作る重要性と具体的な経営計画の作成方法を紹介します。

売上総利益は「売上-売上原価」で求めるが・・・

下記の表1はA株式会社の損益計算書です。そのうち販売費・一般管理費の内訳が下記表2で、売上原価の中の当期製造原価の内訳が下記表3と理解してください。これだけでは、売上総利益の金額と率がわかりにくくなっています。

 

[表1]損益計算書

 

 

 

[表2]販売費・一般管理費

 

 

 

[表3]製造原価報告書(主に製造業の場合)

 

 

売上総利益は「売上-売上原価」で求めますが、そもそも売上原価は、売上とともに変動するはずです。

 

ところが、売上原価のなかには、固定費(=売上がゼロでも払わなければならない費用)ともいえる人件費や経費が含まれています。これでは正確な売上総利益金額と利益率はつかめません。また固定費が全体でいくらかかるかもわからないことも問題です。

実際に損益計算書を作成し、各費用を「見える化」

そこで損益計算書を作り変えて、粗利益金額と利益率、固定費を「見える化」します。

 

まず、正確な売上総利益金額と利益率、固定費を経営者が把握するためには表1の損益計算書を表4のように作り変えてみましょう。解説のところに手順を記しておきました。いかがでしょうか。

 

[表4]わかりやすい損益計算書

在庫増減の求め方
 「期首棚卸高 - 期末棚卸高」で計算します。 なぜこの計算式かというと、次のように考えてみればすぐ理解できます。 期首を2で考えてみればよいのです(在庫2ということ) 。例えば期末が3とします。計算式は、2 - 3 = ▲1となります。 なぜ▲1なのか? 期末在庫の3は当期の売上原価の中の、材料費で製品化されたか、 商品を仕入れたかなのです。 いずれにしてもすでに、当期の売上原価の中に含めてはいけないものです。 ですから、売上原価からマイナスするために、▲1とするのです。
在庫増減の求め方 「期首棚卸高 - 期末棚卸高」で計算します。 なぜこの計算式かというと、次のように考えてみればすぐ理解できます。 期首を2で考えてみればよいのです(在庫2ということ) 。例えば期末が3とします。計算式は、2 - 3 = ▲1となります。 なぜ▲1なのか? 期末在庫の3は当期の売上原価の中の、材料費で製品化されたか、 商品を仕入れたかなのです。 いずれにしてもすでに、当期の売上原価の中に含めてはいけないものです。 ですから、売上原価からマイナスするために、▲1とするのです。

 

表1の損益計算書では、売上総利益は21.5百万円で、売上総利益率は26%です。それが図表4では、売上総利益が40百万円で、売上総利益率は50%なのです。どちらが会社の実態を表しているかというと、表4ですね。単純に売上高と売上原価を比較しています。経営計画を作成するには、支出を、変動費用(売上原価)と固定費(内部費用)とに分けたほうが、実態がよく見えやすくなります。

 

表5の表で、あなたの会社の損益計算書をつくりなおしてみましょう。

 

[表5]

 

本連載は、2017年2月26日刊行の書籍『経営計画は利益を最初に決めなさい!」から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営計画は利益を最初に決めなさい!

経営計画は利益を最初に決めなさい!

古田圡 満

あさ出版

社長にしかできないことは2つある。 ひとつはいかに理念を経営計画に盛り込むか(第1部で解説)。社員が理解できるように作成すると同時に、社長自身が取引先にもしっかりで説明できるようにしたい。もうひとつは商品別販売…

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