今回は、年計表から把握できる「企業の長期的傾向」と「景気の変動」について見ていきます。※本連載は、税理士法人古田土会計の代表で、公認会計士・税理士の古田圡満氏の著書、『経営計画は利益を最初に決めなさい!」(あさ出版)の中から一部を抜粋し、社長自らが経営計画を作る重要性と具体的な経営計画の作成方法を紹介します。

売上の「上昇下降の傾向」だけをつかめる

年計表は、季節変動がなくなるので、純粋に売上の上昇下降の傾向だけをつかむことができます。売上高の年計グラフだけでなく、「商品別」「得意先別」「事業所別」「担当者別」などの年計表をつくることによって、それぞれの傾向を読みとることが可能になるのです。

 

年計は、何年も連続して作成してください。それによって、2つの貴重な情報が得られます。①会社の長期的な傾向、②景気の変動、です。

 

①会社の長期的な傾向

年計グラフの典型的なものは、ゆるやかな波を繰り返します。波の進んで行く方向が長期的な上昇、横ばい、下降を示しています。

 

②景気の変動

年計表の上下のゆるやかな波は、景気の変動を表します。上昇は、上がり始めると当分の間は上がり続け、また下降し始めると、下がる期間がしばらく続きます。景気の転換点付近は、上昇または下降の度合いがゆるやかになります。

長期的な視点を持てば「異常」に早く気づくことも可能

こういう長期的な視点を持つことが利益計画には大切なことなのです。古田土会計では、月次決算書に、売上高、粗利益、固定費、人件費、経常利益、営業キャッシュフローの各年計表を添付しています。月次決算という言葉を使っているのは年計表で毎月年間の数字を出しているので、毎月決算しているのと同じ状態でお客様に数字を出しているからです。

 

例えば、12月決算の会社が1月の試算表の数字を見ると、あと11カ月あると思います。ところが年計表を見て、売上高、粗利益、経常利益が前年同月より大幅に下がっていると年計表が下降するから、経営者は危機感を感じ、原因を追求し、早く手を打てます。また、得意先別年計表では、ライバルに得意先が奪われたときには、年計表が急下降するため、異常に早く気がつき、対策を打てます。

本連載は、2017年2月26日刊行の書籍『経営計画は利益を最初に決めなさい!」から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営計画は利益を最初に決めなさい!

経営計画は利益を最初に決めなさい!

古田圡 満

あさ出版

社長にしかできないことは2つある。 ひとつはいかに理念を経営計画に盛り込むか(第1部で解説)。社員が理解できるように作成すると同時に、社長自身が取引先にもしっかりで説明できるようにしたい。もうひとつは商品別販売…

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