
前回は、「顧客本位の業務運営に関する原則」が掲げる具体的な7つの原則のうち、原則2について取り上げました。今回は、原則3・原則4について見ていきます。
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顧客との「利益相反の可能性」を把握しているか?
今回も、「顧客本位の業務運営に関する原則」に掲げられた各項目について詳しく見ていきましょう。
原則3【利益相反の適切な管理】
原則3では、「金融事業者は、取引における顧客との利益相反の可能性について正確に把握し、利益相反の可能性がある場合には、当該利益相反を適切に管理すべきである。金融事業者は、そのための具体的な対応方針をあらかじめ策定すべきである。」としています。
金融事業者は、利益相反の可能性を判断するに当たって、例えば、以下の事情が取引又は業務に及ぼす影響についても考慮する必要があります。
●販売会社が、金融商品の顧客への販売・推奨等に伴って、当該商品の提供会社から、委託手数料等の支払を受ける場合
●販売会社が、同一グループに属する別の会社から提供を受けた商品を販売・推奨等する場合
●同一主体又はグループ内に法人営業部門と運用部門を有しており、当該運用部門が、資産の運用先に法人営業部門が取引関係等を有する企業を選ぶ場合
上記の様な事例を参考にして、個々の金融事業者が主体的に創意工夫を発揮し、ベスト・プラクティスを目指して、他社より優れた体制づくりを目指していくことが求められています。
「費用の詳細」を顧客へ分かりやすく提供
原則4【手数料等の明確化】
原則4では「金融事業者は、名目を問わず、顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を、当該手数料等がどのようなサービスの対価に関するものかを含め、顧客が理解できるよう情報提供すべきである。」としています。
金融商品取引法に基づき、目論見書や契約締結前交付書面で手数料等の明確化はすでに行なわれています。また、最近では銀行による貯蓄性保険の販売手数料の開示など、自主的な取組みとして手数料の明確化の事例も出てきています。原則4では、さらに踏み込んだ検討と情報開示が求められています。
次の原則5の「重要な情報の分かりやすい提供」の注記の中にある、以下の4項目は手数料等の情報を提供する場合においても共通であるとしています。
●金融事業者は、複数の金融商品・サービスをパッケージとして販売・推奨等する場合には、個別に購入することが可能であるか否かを顧客に示すとともに、パッケージ化する場合としない場合を顧客が比較することが可能となるよう、それぞれの重要な情報について提供すべきである。
パッケージ商品、仕組み商品については、内包している個別(単体)の手数料を開示して、顧客が比較できるようにすることが期待されています。具体的には、デリバティブを組み込んだ仕組債や仕組預金、運用を定額部分(外貨等で運用)と変額部分(投信等で運用)に分けた上で保険機能(外貨建て死亡保障)を追加した外貨建一時払年金保険などについての情報開示が想定されています。
●金融事業者は、顧客の取引経験や金融知識を考慮の上、明確、平易であって、誤解を招くことのない誠実な内容の情報提供を行うべきである。
●金融事業者は、顧客に対して販売・推奨等を行う金融商品・サービスの複雑さに見合った情報提供を、分かりやすく行うべきである。単純でリスクの低い商品の販売・推奨等を行う場合には簡潔な情報提供とする一方、複雑又はリスクの高い商品の販売・推奨等を行う場合には、リスクとリターンの関係など基本的な構造を含め、より丁寧な情報提供がなされるよう工夫すべきである。
●金融事業者は、顧客に対して情報を提供する際には、情報を重要性に応じて区別し、より重要な情報については特に強調するなどして顧客の注意を促すとともに、顧客において同種の金融商品・サービスの内容と比較することが容易となるよう配慮すべきである。
顧客が理解できるように、分かりやすい情報を提供することは勿論のこと、手数料等を開示することにより、業者の比較が容易になり、業者間の競争が生まれ、お互いの切磋琢磨により金融市場全体が発展していくことが期待できます。
次回も、顧客本位の業務運営に関する原則の各項目を詳しく解説していきます。
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