貸し手が有利だったバブル時代の市場
返済に十分な現預金があるのに、借入金が残っている、
という会社が、まだまだたくさんあります。
なぜですか?とお尋ねすると、
“返済したら枠がなくなりますよ!”
との答えが帰ってくる場合があります。
要は、全額返済してしまうと、
“次に借りたいときに、借りれないのではないか?”
という不安があるのです。
これは大きな勘違いです。
そもそも「枠」とは何なのか?
勘違いされている方はたいてい、バブル期を経験している方です。
その当時、銀行にとったら、貸し先があふれていました。
銀行にすれば、融資先はよりどりみどり、だったわけです。
つまり、借りたい会社すべてに対応することはできない、
という状況だったのです。
なので、A社には2億、B社には3億、などと、
銀行サイドで融資額の割り当てを考えていったのです。
それが先に言う、「枠」なるものです。
なので、返済するような会社には、もう「枠」を与えない、
という強気の姿勢を、銀行は示すことができたのです。
要は、貸し手が有利な市場だったから、できたことなのです。
しかし今は、貸したくても貸し先がない、
貸し手が不利な状況、カネ余り、なのです。
銀行が強気の姿勢を示せる状況ではないのです。
環境が180度変わっているのです。
なのに、
“全額返したら、「枠」がなくなります!”
と、大きな勘違いをされている方が、いまだにおられるのです。
全額返済したとたんに銀行がとった態度とは…
先日も、
十数年ぶりに無借金となった会社の経営者がこう言いました。
“全額返したら「枠」がなくなる!貸してもらえないのでは!
なんて心配していたのは、なんだったんでしょうね?
全額返済したとたんに、銀行は「借りてください!」
と、これまで以上に営業に来るんですよ。”
と、これまでの心配はなんだったんだ、と嘆いておられました。
今や、融資の「枠」などないのです。
銀行は、そんなことを言ってる場合じゃないのです。
借り手が有利な環境なのです。
融資の「枠」など気にする必要は何もありません。
そんなものは、いまや存在しない状況なのですから。