今回は、「少人数私募債」が企業の「自己資本」と見なされる理由について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「資本性借入金」となる3つの条件

「少人数私募債は、自己資本とみなされます」
と言い続けています。

 

自己資本とみなす借入金(負債)のことを、
金融庁は「資本性借入金」として、
その活用を推奨しています。
こちらです。
そこには、「資本性借入金」とする条件を、
次のように記載しています。
①償還期間が5年超であること
②金利設定があること
③劣後性があること(破たん時の返済があとまわし)

 

この3つの条件を満たすものを、
自己資本として扱いなさい、として、
事業者に導入を勧め、金融機関には指導しているのです。
そこには、「資本性借入金」とすることで、
財務内容は改善される、と明記されています。
「少人数私募債」はまさしく、この条件を満たすものなのです。

 

上の3つでややわかりにくいのは、③です。
「劣後性があること」というのは、
具体的には、担保設定がない、ということが該当するとされています。
少人数私募債の発行に際し、引受人に担保は差し出しません。
信用のみです。
資金を出す側にすれば、出資性が強くなります。

「少人数私募債のことは、ご存知ですか?」

逆に、担保設定がある、というのはどのような場合か、です。
返済不可能な状態に陥った場合、
優先的に、その担保を返済金の代わりに充てる、ということです。
通常の借入金で銀行が担保を要求するのは、
不測の事態があっても、回収したいからです。
そこには、劣後性などないのです。
回収ありき、なのです。出資でないことは明白です。

 

なので、
先の3つの条件が文書で明確になっているもの、
と言えば、要は、「社債」です。
「少人数私募債」であろうと、「銀行引き受けの社債」
であろうと、3つの条件を満たすものを、
金融庁は「資本性借入金」としているのです。

 

ただ、
銀行の融資担当者や支店長クラスであっても、
「少人数私募債」そのものを知らない、ということが多いのです。
そんなときは、
“「少人数私募債」は「資本性借入金」にあたりますよね?”
と確認したり、ズバリ、
“少人数私募債のことは、ご存知ですか?”
と、たずねてみればよいのです。

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    本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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