今回は、銀行の融資権限を背景に行われる保険の「圧力募集」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

かつては「歩積両建」が横行したが…

保険業界の方から、
“最近、銀行の圧力募集が増えていて困ります・・・。”
という声を聞きました。
“「圧力募集」って、どういうことですか?”
と、たずねました。

 

“要は、
「御社に融資をしますから、この保険に入ってくれませんか?」
ということですよ。
圧力募集は保険業法に出てくる違反事項の専門用語なんですが、
おかまいなしでやっている銀行が多いようです。”
とのことでした。

 

銀行がより多くの融資を獲得するため、かつては、
いわゆる「歩積両建」が横行しました。
必要のない資金を貸し付け、定期預金で拘束してしまう、
という類です。
しかし、金融庁による「歩積両建」への締め付けが厳しくなり、
それに代わって増えているのが、融資を見返りにした、
生命保険への「圧力募集」というわけです。
いずれにせよ、貸す側の優越的地位の濫用であることに、
違いはありません。

銀行からのたちの悪い提案が多くなる理由

銀行にすれば、
融資額は増えるし、保険の手数料も稼げます。
となれば当然、手数料の実入りがいい保険を販売します。
金利で稼げない昨今、銀行にすれば、おいしい話しです。
それに、そもそも財務格付けで融資できる会社にしか、貸さないのです。
つまり、見返りなどなくても融資できる状態なのです。
それをわかったうえで、
“保険に入っていただければ融資をいたします。”
と、見返りのごとく、
もったいぶって話しを持ち掛けていることが多い、
と予測されます。

 

銀行業界は保険業界よりも、
顧客の財務データを簡単に手に入れることができます。
そのため、たちの悪い提案が多くなります。
もし、融資要件の交渉をしているのに、
銀行が保険の話しを持ち出したなら、
“それって「圧力募集」じゃないですか?”
“保険業法の違反行為に当たりますよ。”
と、言ってほしいのです。"

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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