誠実そうに見えて、信頼できない人も・・・
私たちは普段から、信用できる人とできない人を、なんとなく分類しています。しかし、その分類がはずれ、自分の判断に裏切られることがあります。
ところが、ピンチになると判断力が研ぎ澄まされていきます。いや、自分の判断力が研ぎ澄まされるというよりは、相手の正体があらわになるといいましょうか。ピンチになると、本当に信頼できる人とできない人が明確になってくるのです。
私は若いときから(と言うにはまだ若輩者ですが)、自分の手には負えないけれどもなんとかしなくてはならないという状況に自分を追い込んでは、いろいろな人に頼って助けていただき、どうにか乗り切ってきました。
面白いことに、頼るほど、助けられるほどにそのような人たちとの信頼関係が強くなり、自分も助ける側に成長することを実感してきました。
このように、大きさにかかわらずピンチを経験するたびに、人を見る目が肥えてきます。誰が本当に信頼できる人か、逆に誠実そうに装っていても信頼できない人かを見抜くことができるようになってくるのです。
一緒にムリやムチャをしてくれる仲間を探す
会社が倒産の危機にあったときも、協力的で信頼できる人と、非協力的で信頼できない人はかなり明確に見分けることができました。
たとえば、会社の中でも上長からの評価が低かったり、低い地位で重要な仕事を任せられずに軽んじられたりしていたような人たちの中にも、信頼できる人を見つけ出すことができたのです。
私はそのような人たちを、自分の目や嗅覚を信じて抜擢し、会社再生の原動力として新しい組織の中核になってもらいました。そして、実際に彼らは力を発揮し、そのような彼らの働きによって会社はみるみる立ち直っていきました。
彼らの共通点は、私がピンチのときに、一緒にムリやムチャをしてみましょう、という姿勢を示してくれたことです。できるところまで一緒にやってみましょう、という態度で接してくれたのです。
一方、それなりの立場にあり、もっともらしいことを語っていても、私がピンチの状態にあるとわかれば、「私にはできません」と尻込みしてしまう人は、信頼できないと判断していた人たちでした。
このように、ピンチのときこそ信頼できる人を見つけることができますので、若いうちからムリやムチャをしてピンチな状態を経験すれば、信頼できる人を見抜く眼力が養われるのです。