前回は、「店舗・需要発生点」の近接性を解説しました。今回は、「施設・店舗スケール」について見ていきます。

店舗や大型商業施設の設計図に相当

施設・店舗(舞台装置)

 

ちょうど店舗や大型商業施設の設計図に相当するのがこの施設・店舗スケールだ。英語ではサイト(site)と言われている。駐車場と敷地とその建物が対象となる。商業施設内に出店する店舗であれば商業施設内の配置を考える場合もこのスケールとなる。どのフロアに位置するのか、隣にどのようなテナントがあるか、ターゲットとする客層と接触しやすい場所か、といったことが検討されるスケールである。

 

アクセス性はロードサイドの店舗であれば接続道路から駐車場への入りやすさ、大型商業施設内のテナントであれば駐車場からその店へのアプローチを評価する場合もある。視認性は見えやすさといった物理的な側面もあるが、対象としているターゲットの客層に認識してもらえるかといった視点も重視される。等身大スケールと重なるが、レジ数や棚の配置、商品陳列もこのスケールで検討されることもある。商品・サービスを提供するための舞台装置のスケールと言うこともできよう。

 

しかし、売り上げ予測モデルを構築していると、この店舗施設スペックをいくら変更してもせいぜい10%前後ほど売り上げを変えることはできても、2倍3倍に変化させることはできないことに気が付く。施設・店舗を支える立地、そしてその立地を支える商圏がいかに重要かを改めて考えさせられる。

店舗視察の際に活用される「等身大スケール」

オペレーション(等身大スケール)

 

等身大とは1/1スケールのことを指す。私たち生身の人間がもっともなじんでいる空間スケールだ。この等身大のスケールで観察したり、比較したりできるのは、接客や店の雰囲気、マーチャンダイジングなどの「オペレーション」スケールだ。

 

店員の様子、店の雰囲気などはこのスケールに属していて、多くの人が店舗視察の際に注目するのもこの等身大スケールとなる。このスケールは企業がもっともコントロールしやすいスケールでもある。しかし、どのような商品を取り扱うか、どんなサービスを提供するかは、それを支える下の空間スケール「施設・店舗」の影響を受ける。

ジオマーケティング戦略 ポスト「マス」時代の消費者分析

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酒井 嘉昭

幻冬舎メディアコンサルティング

「ところ変われば、(売れる)品も変わる」──。現代において「流行」とは、企業がつくり出すものではない。様々な情報へ日常的に触れる消費者に「選ばれて」初めて、流行の商品・サービスとして流通する。ビッグデータ全盛の…

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