運用によって成果が変動する「変額保険」
前回の続きです。
「ちなみに変額保険って何ですか?」
「保険には大きく分けて、定額保険と変額保険の2種類がある。定額保険は、加入時点で保険金額が確定しているんです」
「予定利率のところですか?」
「そう、あらかじめいくら支払われるかがわかっている保険です。どのように運用するかも、ちゃんと金融庁に届け出ているものなんだ」
「つまり、安定した運用がされている、と理解すればいいんですか?」
「その通り。一方で、変額保険の場合、商品の運用方法は保険会社の裁量に任せられてる。だから、運用がうまくいけば、解約返戻金は多くなるし、悪ければ少なくなる」
「支払われる額が変動するから、変額保険ということですか?」
「そういうことです」
「でも、保険会社に任せるってなんだか怖いですね・・・」
「もちろんリスクはある。ただ、運用の基本原則として、リスクとリターンは一体だということは覚えておいてほしい。リスクがあるからリターンが得られる。逆にリターンがあるところにはリスクもあるんだ」
明示されている「過去の実績」を判断材料に
「儲かる可能性もあれば、損をする可能性もある、と」
「そう。とはいえ、変額保険は、過去の実績がすべて明らかにされているから、それを判断材料にはできる。ここが無根拠の投機とは違うところなんだ」
「・・・過去の実績って、だいたいどれくらいの数字なんですか?」
「まぁ、10%というところだね」
「えっ、そんなに高いんですか?」
「そうだよ。前回の記事で示した返戻率の比較(図表)も、実績よりも低く見積もって、7%の運用を10年間と18年間で行ったと仮定して出している」
「じゃあ、もっと返戻率が高いこともあるんですか!?」
「もちろん。ただ、その反面、7%を下回るリスクだってあるということも忘れないでほしい」
「変額保険っていいですね。興味出てきたんですけど。あ、あと、海外保険もいいですよね。返戻率も高いし、元本保証までついてる」
「海外保険の場合、明確な理由があるんだ。というのも、まず、前提として日本の保険会社は支出が大きいんだ」
「支出?」
「ひと言でいえば税金のこと。法人税や消費税などの税金を収めて、その残りで運用するから、リターンが低くならざるを得ない」
「でも、海外保険は違うということですか?」
「違う。税金面で優遇されてる国が多いから。たとえば、利回りが20%という保険もめずらしくないんだ。もちろん、為替リスクにも注意が必要だから、幅広く商品を研究する必要があるけどね」
「なんとなくですけど、海外保険は利率が高い反面、心配ですね・・・。信頼度というか、言葉が通じないし、不安が・・・」
「まあ、あくまで一例だからね。わかりやすい例として保険商品を見てきたけど、Mさんに伝えたいのは、情報を鵜う呑のみにしたらいけないということだよ」
「たしかに!比較と検討をしなきゃもったいないですね」
「自分の目的に照らして、調べて、納得して買うことが重要なんだ」