
今回は、なぜ銀行員が投資信託や外貨預金を熱心に勧めるのか見ていきます。※本連載は、1億円倶楽部の主幹などを務め、年収1億円超のクライアントを多数持つ富裕層専門のカリスマ・ファイナンシャル・プランナー江上治氏の著書『給料が上がらなくても、お金が確実に増える方法を教えてもらいました。』(あさ出版刊行)の中から一部を抜粋し、お金を上手に運用するコツを会話形式でやさしく解説します。
銀行が売る投資信託は、販売手数料・信託報酬が高い

「江上さん、一度頭のなかを整理したいんですが、金融商品を選ぶ際には、『リスクとリターンの関係を見る』。そして、手数料や税金などの『支出をなるべく減らす』、この2つが重要なんですよね?」

「そうだね。しかも、手数料に関しては、いま、銀行では投資信託、外貨預金、保険など金融商品の販売に力を入れている。なぜかわかる?」

「全然わかりません」

「手数料を取れるからだよ」

「なんでそんなに手数料がほしいんですか?」

「ひと言でいえば、儲かるから」

「えっ? 手数料がですか? そういえばボクも銀行で、保険を勧められたことがありますけど、それも手数料が目的なんですかね?」

「もしかしたらね。販売手数料はビジネスとしてプラスが大きいんだ」

「へー。銀行ってボクらに身近な場所だし、証券会社のようなガツガツしたイメージがないんですけど」

「いやいや、それは見かけだけ。本当は羊の皮をかぶったオオカミみたいなもんだよ。実際、銀行で販売されている投資信託って、販売手数料や信託報酬が高いからね。ネット証券で買ったほうがお得だよ」
金利低下で利ざやが縮小…金融商品はその「穴埋め」

「でも、素人だと、何がいいかわからないから、どうしても専門家の説明を聞きたくなっちゃうんですけど・・・」

「銀行窓口の担当者だって、決して金融知識に明るいわけじゃないよ。むしろ、いまは、いかに金融商品を販売するかに必死だから。Mさんなんか格好のえじきにされちゃうかも」

「それはイヤです・・・。そもそも銀行が必死になる必要あるんですか?」

「だって銀行は金利の低下で、収益源だった利ざやが縮小している。その穴埋めで、いま手数料が重視されているんですから」

「手数料って、ボクらが払っているものですか?」

「厳密には、証券会社や保険会社などが銀行に支払うんだけど、その原資は、契約者が支払うお金からまかなっている。つまり、契約者にツケがまわってくる構図になっているんだ。そのあたりの背景は業界で25年以上いるから、よくわかるんです」