銀行が売る投資信託は、販売手数料・信託報酬が高い
「江上さん、一度頭のなかを整理したいんですが、金融商品を選ぶ際には、『リスクとリターンの関係を見る』。そして、手数料や税金などの『支出をなるべく減らす』、この2つが重要なんですよね?」
「そうだね。しかも、手数料に関しては、いま、銀行では投資信託、外貨預金、保険など金融商品の販売に力を入れている。なぜかわかる?」
「全然わかりません」
「手数料を取れるからだよ」
「なんでそんなに手数料がほしいんですか?」
「ひと言でいえば、儲かるから」
「えっ? 手数料がですか? そういえばボクも銀行で、保険を勧められたことがありますけど、それも手数料が目的なんですかね?」
「もしかしたらね。販売手数料はビジネスとしてプラスが大きいんだ」
「へー。銀行ってボクらに身近な場所だし、証券会社のようなガツガツしたイメージがないんですけど」
「いやいや、それは見かけだけ。本当は羊の皮をかぶったオオカミみたいなもんだよ。実際、銀行で販売されている投資信託って、販売手数料や信託報酬が高いからね。ネット証券で買ったほうがお得だよ」
金利低下で利ざやが縮小…金融商品はその「穴埋め」
「でも、素人だと、何がいいかわからないから、どうしても専門家の説明を聞きたくなっちゃうんですけど・・・」
「銀行窓口の担当者だって、決して金融知識に明るいわけじゃないよ。むしろ、いまは、いかに金融商品を販売するかに必死だから。Mさんなんか格好のえじきにされちゃうかも」
「それはイヤです・・・。そもそも銀行が必死になる必要あるんですか?」
「だって銀行は金利の低下で、収益源だった利ざやが縮小している。その穴埋めで、いま手数料が重視されているんですから」
「手数料って、ボクらが払っているものですか?」
「厳密には、証券会社や保険会社などが銀行に支払うんだけど、その原資は、契約者が支払うお金からまかなっている。つまり、契約者にツケがまわってくる構図になっているんだ。そのあたりの背景は業界で25年以上いるから、よくわかるんです」