
今回は、投資で儲けたお金を生活費に使ってはいけない理由を見ていきます。※本連載は、1億円倶楽部の主幹などを務め、年収1億円超のクライアントを多数持つ富裕層専門のカリスマ・ファイナンシャル・プランナー江上治氏の著書『給料が上がらなくても、お金が確実に増える方法を教えてもらいました。』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、お金を上手に運用するコツを会話形式でやさしく解説します。
利潤は次の投資にまわしてこそ複利効果を活かせる

「高い利率で、かつ複利で長期運用すると、日々の生活も、断然、楽になりますね」

「??・・・ちょっと待って・・・」

「えっ、どうしたんですか、急に・・・」

「水を差すようだけど、もし投資で得た利潤を生活費に充てようと思ってるなら、やめたほうがいい」

「なぜですか?」

「利潤は次の投資にまわされるからこそ、複利効果が活かせられるんだ。たとえ売却益なり配当金を得たとしても、それは再投資にまわすべき。つまり、使わないのが大前提なわけ」
配当金を使う = もとのお金を削っている!?

「ええっ!利益が出ても、使っちゃいけないんですか……」

「うん、使わないほうがいい。いま、銀行の窓口なんかで、『毎月分配型ファンド』が売られているけど、あれなんてもってのほか」

「毎月分配型?・・・なんですか、それ?」

「毎月、決まった額の配当金が分配される商品のことだよ。たとえば、Mさんに毎月決まった額のお金が入ってきたらどう?安心感やお得感があるような気がしない?」

「あります!不動産収入みたいに、毎月、お金が入ってくるとうれしいです」

「でも、それ、ホントは複利効果を減らしてるだけなんだよ」

「??どういうことですか?」

「要は、複利の場合、元本+利息でお金がどんどん増えていく仕組みなのに、配当金が分配されてしまうと、もとのお金を削っていることになるから、あまり複利の恩恵を受けられないんだ(図表)」
[図表]複利効果が減る仕組み


「えっ・・・それは困りますね。つまり目先のお金としてはもらえるけど、元本は増えていないってことですよね」

「そうなんだ。しかも、毎月分配し続けるから、無理して運用しようとして、失敗するファンドもある。結果的に元本が減ってしまうことも少なくないんだ」

「そういう背景も知っておかないと、すぐにお金がなくなりそうですね」

「結局、高い利率、複利で、長期運用するのが投資の鉄則なんです。元本をどんどん増やしていくのも重要。最初のうちは、単利も複利も、あまり違いがないように感じるかもしれないけど、時間が経つと、目に見えて差が出てくるわけだからね。短期の売却益をそのつど使ってしまったら、大きく増えないんだよ」

「増えた分、使っていいと思っていたから残念です・・・」