一見利回りの良い「中古物件」だが・・・
築20年を超える中古物件は、見かけの利回りは新築と比べて高くて収益性が高いように見える。確かに何もなければ、新築よりはキャッシュフローが多いだろう・・・何もなければ・・・。
築20年も経過すれば、設備がやたらとトラブりはじめる。中古物件を買う際は、しっかり修繕履歴を確認しておかないと、購入後に足元をすくわれる。しっかり修繕を意識すべきだ。
中古と新築の利回り差
以下の図表(模式的に平成25年3月の楽待掲載データ使用)を参照してもらいたい。例えば都内の物件では、横軸に築年数・縦軸に表面利回りを取ると、このような関係になっている。
[図表]東京都内不動産投資物件の利回り
切片の5.77は、新築の表面利回りが5.77%ということ。そして、何と言っても傾き0.067に着目してほしい。これは、例えばxに10を代入して、10年後の表面利回りを考えると、新築と10年後の表面利回りが0.67%しか変わらないというだ。恐ろしい状況だ。
わざわざ中古物件を買って、修繕リスクを負いながら保有するより、新築を立てた方がリスクを減らすことができる。
土地から選べば、「小ぶりの一等地」にも手が届く!?
新築戦略に移行する場合、土地・建物込みの建売を購入するやり方もある。しかし、私は土地から購入して、自分用にカスタマイズして建築した。手間がかかるが、その分、収益性が上がるし、選択肢も広がる。
土地建物込の新築は、限られた範囲でしか市場に出回っていない。しかも建築後、すぐに売却しようとしている物件は、もともとキャピタルゲイン狙いで、工事の施工費を限りなく落として、利益を得ようとしている物件が多い。
それよりは、自分がこだわる部分はこだわりつつも、落とすところはスペックを落として、建築費全体をコントロールした方が、後々の資産性が高い物件が完成する。土地から物件のメリットを以下に列挙する。
①仲介業者の手数料減
まず仲介業者に支払う仲介手数料は土地だけで良い。建物には仲介手数料がかからない。この分はコストダウンできる。
一般的な1部屋20平方メートル、6部屋を作ろうとした場合、共用部を入れると施工面積は約160平方メートル。設備込みの建築費用が70万円/坪とすると、建設費はそれだけでも3500(160÷3.3×70)万円程度となる。3500万円上乗せされた建物金額を仲介業者に支払うとなった場合、3500万円×0.03×1.08(消費税)=113万円これだけの費用が浮く。
②一等地が狙える!
狙い目の仲介業者は、「投資用ではなく、住宅を対象にしている老舗の仲介業者」だ。規模感も、もともとの住宅用地だと土地建物込みで1億円前後の物件になる。投資用だと、一等地に出現する物件は平気で2~3億円となり、サラリーマンには手が出しにくい。1億円程度ならば、売却時も出口が取りやすい。
お金に関するリスクを「シミュレーション」しておく
新築は家賃が高く設定されているため、退去が出たあとの家賃下落が心配という話を聞く。しかし、よく考えてみてほしい。「退去後の家賃下落リスクを抱えているのは新築だけなのか?」不動産は残念ながら、どんどん古くなる。退去のたびに、家賃が下がるという構造は新築だけではない。
数年後の退去の話なんて、どうでも良い。今が大切。先のリスクばかり気になるヤツは、やめてしまえばいい。
どうでもいいは極端かもしれないが、購入前にできることとしたら、家賃下落リスク・空室リスク・金利上昇リスクをざっくりシミュレーションして、どれぐらいの金額帯になったら、黄色信号で、どうなったら赤信号なのかを知っておくことぐらいだ。
しっかり黄色信号の予兆の段階で手を打つことだ。赤まで待っていたら手遅れだ。この感性に自信がないヤツもやめておいた方が良い。
何か違和感を覚えたら、物件の付加価値を上げるための施策を打つか、その時点での売却も選択肢の1つだ。購入時の瞬発力・売却時の瞬発力・時代のトレンドを見る目。これは株やFXでレバレッジを掛け過ぎて大損を被ってしまう時に必要な瞬発力と比べれば、かわいい方だ。十分に考える時間がある。