前回は、ベトナムで不動産を購入する日本の方からよく寄せられる質問を紹介しました。今回は、ベトナム不動産の購入にあたって、特に注意が必要なポイントについて、再度確認していきましょう。

外国人への販売制限など、当局の解釈が変わる可能性も

これまでの記事でも随時触れてきましたが、ベトナムで不動産の売買を行う場合、ベトナムの法律や税務を理解・厳守しなければなりません。以下は、外国人が不動産使用権を確定する上での大事な法律ですので、あらためて確認していきましょう。

 

➀査証(入国可能なら誰でも購入可能)

 

ベトナムに入国できる15日以内の観光目的でも入国が認められたら、一部制限を除いて購入可能(パスポートに入国印があることを確認後)。

 

➁外国人向け不動産物件の購入戸数制限

 

外国人投資向けに開放される不動産物件は、開発ライセンスを取得した物件に限り、コンドミニアム(分譲マンション)と戸建て住宅のみ。外国人が購入できる戸数は分譲マンション1棟につき最大30%、戸建て住宅は1街区につき最大250戸との購入制限がある。

 

なお、当初の解釈が少し変わる可能性がある。現在、当局側では以前からの解釈であるコンドミニアムの販売制限数を棟ごとに最大30%の外国人枠ではなく、1街区につき最大30%との解釈もあり、実際に権利が確定するまでは予断を許さない状況がある。

 

③外国人に投資開放していない地域

 

改正法によると、外国人に投資開放をしていない地域として国防や安全保障に関わ
る地域に位置する物件に投資することができない。気を付けないといけないのは、
確かな情報ばかりではないという点。投資する物件が本当に外国人の投資向けに開放されている建設プロジェクトなのか、注意深く確認する必要がある。

 

 

不動産売買の際は、まずこれらが厳守されているのかを確かめる必要があります。もし開発会社と販売契約を締結し、支払が済んでいたとしても、最終的に判断するのは政府の機関であるということを忘れてはなりません。

売買の際は、ベトナムの公証機関の証明を必ず受ける

現在引渡が始まっている外国人の購入物件に対する政府申請は、受付が開始されたばかりです。購入制限枠や外国人が購入できない地域の審査はこれから開始され、最終的な権利が確定していきます。以下、留意点をまとめます。

 

➀中古物件でも外国人への転売可能なケースとは?

 

中古物件は原則的に外国人は購入できないが、外国人(外国人枠)が購入した物件に関しては、使用権期間を引き継いでの販売が可能。ただし、関係部局に申請後、許可を得た物件に限る。ベトナム人に転売することも可能。

 

➁不動産取引の仕組みがルール化されていない部分もあり、注意が必要

 

日本のように不動産売買の仕組みができていない。日本人同士であれば、日本の不動産取引システムを活かし、双方が納得する形をとることで、トラブル発生のリスクを抑えられる可能性が高いが、ベトナム人との売買取引の場合は、不動産取引に慣れている不動産業者か、弁護士を立ち会わせての対応が必要になる。

 

正規の形として、ベトナムの公証機関(日本では公証役場)の証明を必ず受けることを推奨する。

 

③購入金額の証明が欠かせない

 

外国人が不動産を購入する際の支払は、銀行送金で行う。その際、ベトナム国内での事業収益での購入か、それとも海外での収益による購入かにより、海外に戻せる金額が変わる。

 

ベトナム国内での収益で購入した場合は、所定の税務手続きを行い納税すれば、ベトナム国内で受取・保有することは難しくはない。ただし、海外に送金する場合は、正規に就労して得たお金なのか、それに伴う税務処理や納税ができているか・・・などといった、購入した金額の取得説明が必要になる。会社で購入した場合は、税務・法律の観点から、海外持ち出しに問題がないか審査を受けたあと、許可が下りれば海外への送金が可能になる。

 

海外から購入する場合も、同様の手続きが必要になる。まずは購入の際の送金手続きを規定通り行っているかが重要になる。そのためには、送金する際の送金目的を正しく記載しなければならない。例えば、不動産購入の費用であることを、物件番号を添えて明確に記載する必要がある。その後、税務処理を正しく行い、納税を済ませていることや、賃貸で収益事業を行う際の賃貸許可を受け、税務処理も正しく行い、納税も済ませていることを確認できれば、海外に送金することが可能になる。

 

手間はかかるが、決められた規定に従って確実に進めていくことで、スムーズな送金が可能になる。裏を返せば、規定通りに行わないと海外への持ち出し(現金持出し規定内除く)、送金はできない。

 

ベトナムは社会主義の国なので、融通が利くと思われている人が多いようですが、実際はそうではありません。法律に則り、決められたことを確実に行ってこそ、この国で長期にわたってビジネスを発展させていくことができるのです。

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