今回は、事業の実現可能性に説得力を持たせる方法を見ていきます。※本連載は、福井泰代氏が代表取締役を務める「株式会社ナビット」が運営するWEBサイト、「助成金なう」のブログから一部を抜粋し、助成金・補助金に関する疑問や、専門用語をQ&A方式でわかりやすく紹介いたします。

誰に、何を、どのように・・・コンセプトを明確にする

事業の実現可能性に説得力がなければ、どの補助金の採択も難しいです。では、実現可能性とはどのようなことを指すのでしょうか?

 

創業系の補助金であれば、実現可能性は、

 

1.「商品・サービスのコンセプトが明確なこと」

2.「商品・サービスの具体化までの手法やプロセスがより明確となっていること」

3.「事業実施に必要な人員の確保に目途が立っていること」

4.「販売先等の事業パートナーが明確になっていること」

 

と定義されています。

 

まずは、1.「商品・サービスのコンセプトが明確かどうか」ということが問われています。コンセプトが明確ということは、平たく言えば、

 

①その商品・サービスは「誰に」対するものなのか?

②「何を」与えることができるのか?

③「どのように」提供するのか?

 

といったことが明確になっていることです。

 

例えば、ハマグリからとった出汁で作った北海道の契約農家から仕入れた国産小麦の麺にサラダをセットで売っているカロリー半分のラーメン屋があったとします。その店のコンセプトは、

 

①20代から30代のラーメンが好きだけれどダイエットも気にする女性に対して

②ハマグリからとった旨味を抽出した出汁と産地にこだわった麺のラーメンを

③カロリー半分で提供する商品

 

ということになります。

 

もちろん、フランチャイズであれば、コンセプトはより一般的なものになるでしょう。なぜなら、こだわりや個性は一般受けしないからです。なるべく多く層のお客さんに来てもらい、おいしいけれどもそれほど特徴のあるものでない方が展開しやすいからです。幅広い客層に受けるからこそ、同じ味で全国展開できるのです。

 

しかし、個人店の場合は、フランチャイズと同じことをやってしまうと失敗します。フランチャイズは共同仕入れによる低価格の実現、立地、宣伝広告などの本部サポートがあるなど、小さな店では真似ができない仕組みがあります。おまけに内装なども均一化による低コストで改装工事ができる仕組みがあります。

 

小さな個人店では、雰囲気、店長の個性などコンセプトがより明確でないと、お客に訴えることはできません。わざわざ足を運んでくれる店でないと長く続けることは難しいからです。

販路や売先が決まっていれば、採択の可能性は高まる

次に、

 

2.「商品・サービスの具体化までの手法やプロセスがより明確となっていること」

3.「事業実施に必要な人員の確保に目途が立っていること」

4.「販売先等の事業パートナーが明確になっていること」

 

ですが、こういう商品やサービスを作りたいという結論だけではなく、提供する商品やサービスを具体化するために、先ほどのラーメン屋であれば、どうやって、ハマグリを仕入れるのか、北海道の契約農家とどうやって仕入れルートを築くのか、店の場所はどうするのか、何人で店を運営するのか、といった手法や事業プロセス等が明確になっているかどうかが重要になります。

 

また、販路や売先が既に決まっている場合、これからお客を見つける場合と比べて、実現可能性が高くなると感じませんか?

 

第三者から見て、成功しそうだなと思ってもらうためには、「なぜ、どうして」といった起こりそうな疑問に対して、なるべく丁寧に答えてあげることが必要です。

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