今回は、土地の「地目」と「評価単位」を判定する手順について見ていきます。※本連載は、税理士・小寺新一氏、不動産鑑定士・税理士・吉村一成氏の共著、『改訂版 税務署を納得させる不動産評価の実践手法』(実務出版)の中から一部を抜粋し、土地の評価でポイントとなる「地目」と「評価単位」について解説します。

「財産評価基本通達」の定めに従って判定

地目と評価単位に関する取扱いは、財産評価基本通達7及び同7−2に定められているところ、この取扱いを正しく理解するためには、これらの通達を正確に読み解くことが大切です。

 

以下、これらの通達の読み解き方とともに、評価単位の具体的な取扱いを質疑応答事例に照らしながら説明します。

 

(1)評価通達7の「本書」の定め(原則)と評価単位に関する通達の適用の順

 

「第13地目と評価単位」のとおり、財産評価基本通達7《土地の評価上の区分》本書は、地目と評価単位の判定につき、総論として、「土地の価額は、地目の別に評価する。」と定めています。

 

そして、地目別の評価単位の判定についての各論は、財産評価基本通達7−2の(1)ないし(7)に定められています。

 

これらの定めによる具体的な取扱いについては、本書の「15宅地の評価単位」、「第16不合理分割が行われた場合の評価単位」及び「第17農地、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地及び雑種地の評価単位」をご覧ください。

 

このように、地目と評価単位の判定の手順は、まず、財産評価基本通達7−2の(1)ないし(7)の定めに従って現況地目の別にそれぞれ評価単位を判定します。

 

次いで、これらの定めに従って判定をした評価単位の土地のうちに財産評価通達7のただし書又はなお書の定めに該当する土地がある場合には、さらに、それぞれの定めに従って評価単位を判定します。

 

つまり、土地の評価単位は、「財産評価基本通達7の本書」⇒「同通達7−2の(1)ないし(7)」⇒「同通達7のただし書」⇒「同通達7のなお書」の順に、それぞれの定めを適用し、その判定をすることに留意してください。

「土地の評価上の区分」「評価単位」の通達とは?

<評価通達>

 

(土地の評価上の区分)

 

7 土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。

 

なお、市街化調整区域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条((区域区分))第3項に規定する「市街化調整区域」をいう。以下同じ。)以外の都市計画区域(同法第4条((定義))第2項に規定する「都市計画区域」をいう。以下同じ。)で市街地的形態を形成する地域において、40((市街地農地の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40−3((生産緑地の評価))に定める生産緑地を除く。)、40−2((広大な市街地農地等の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40−3に定める生産緑地を除く。)、49((市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、49−2((広大な市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、58−3((市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野、58−4((広大な市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野又は82((雑種地の評価))の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価するものとする。 

 

地目は、課税時期の現況によって判定する。

 

(1) 宅地

(2) 田

(3) 畑

(4) 山林

(5) 原野

(6) 牧場

(7) 池沼

(8) 削除

(9) 鉱泉地

(10) 雑種地

 

(注) 地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行う。ただし、「(4)山林」には、同準則第68条の「(20)保安林」を含み、また「(10)雑種地」には、同準則第68条の「(12)墓地」から「(23)雑種地」まで(「(20)保安林」を除く。)に掲げるものを含む。

 

(評価単位)

 

7−2 土地の価額は、次に掲げる評価単位ごとに評価することとし、土地の上に存する権利についても同様とする。(平11課評2−12外追加・平16課評2−7外改正)

 

(1)宅地

宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。

 

(注) 贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とする。

 

(2)田及び畑

田及び畑(以下「農地」という。)は、1枚の農地(耕作の単位となっている1区画の農地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。

 

ただし、36−3((市街地周辺農地の範囲))に定める市街地周辺農地、40((市街地農地の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地、40−2((広大な市街地農地等の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地及び40−3((生産緑地の評価))に定める生産緑地は、それぞれを利用の単位となっている一団の農地を評価単位とする。この場合において、(1)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。

 

(3)山林

山林は、1筆(地方税法(昭和25年法律第226号)第341条≪固定資産税に関する用語の意義≫第10号に規定する土地課税台帳又は同条第11号に規定する土地補充課税台帳に登録された1筆をいう。以下同じ。)の山林を評価単位とする。

 

ただし、49((市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林及び49−2((広大な市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林は、利用の単位となっている一団の山林を評価単位とする。この場合において、(1)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。

 

(4)原野

原野は、1筆の原野を評価単位とする。

 

ただし、58−3((市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野及び58−4((広大な市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野は、利用の単位となっている一団の原野を評価単位とする。この場合において、(1)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。

 

(5)牧場及び池沼

牧場及び池沼は、原野に準ずる評価単位とする。

 

(6)鉱泉地

鉱泉地は、原則として、1筆の鉱泉地を評価単位とする。

 

(7)雑種地

雑種地は、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地をいう。)を評価単位とする。

 

ただし、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、82≪雑種地の評価≫の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地が2以上の評価単位により一団となっており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の雑種地ごとに評価する。この場合において、1の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。

 

(注)

1 「1画地の宅地」は、必ずしも1筆の宅地からなるとは限らず、2筆以上の宅地からなる場合もあり、1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もあることに留意する。

 

2 「1枚の農地」は、必ずしも1筆の農地からなるとは限らず、2筆以上の農地からなる場合もあり、また、1筆の農地が2枚以上の農地として利用されている場合もあることに留意する。

 

3 いずれの用にも供されていない一団の雑種地については、その全体を「利用の単位となっている一団の雑種地」とすることに留意する。

改訂版 税務署を納得させる 不動産評価の実践手法

改訂版 税務署を納得させる 不動産評価の実践手法

小寺 新一,吉村 一成

実務出版

土地評価の基礎知識から特殊な状況にある不動産の評価手法に至るまでの手順を簡潔明瞭に提示。不動産評価の現場業務に直結する評価物件の物的確認や法的利用規制の確認など、不動産評価を的確かつ効率的に進行させるための実務…

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