今回は、加入する厚生年金基金が解散した場合、脱退一時金を受け取るべきか否かを見ていきます。※本連載は、株式会社アセット・アドバンテージの代表取締役で、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する山中伸枝氏による著書、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)より一部を抜粋し、自営業、公務員、会社員などの職業や、年代によって最適な「確定拠出年金の活用方法」をご紹介します。

単なる退職時の一時金の受け取りはお勧めしないが…

<ケース7> 会社員

 

厚生年金基金はここ数年でほぼすべてが解散の予定となっています。そのための基金解散にともない一時金を受け取る人も出てきています。少し複雑ですが、今自分がどういう状況なのか確認する必要があります。

 

●厚生年金基金・・・企業年金の1つで、従業員の老後の生活資金として終身で支払われる会社独自の上乗せ制度。近年、運用の悪化により積立不足が生じ、解散の方向です。

 

単に自分が厚生年金基金のある会社を辞めて脱退一時金を受け取るケースでは、退職後、個人型確定拠出年金に加入し、その一時金を非課税で個人型の口座に移換することができます。一時金をそのまま一時金として受け取ってしまうと、一時所得として課税されますし、何よりも臨時収入だと喜んでしまい使ってしまいます。

 

老後の資産形成を継続させるためには、個人型確定拠出年金に加入し資産移換をすることが望ましいでしょう。

 

厚生年金基金は存続しているが「会社」が脱退する場合も、個人型確定拠出年金に資産を移換することができます。この場合、基金に加入している状態では個人型に加入する資格がないので、会社にスケジュールを確認しながら手続きを進める必要があります。

 

しかし、2017年以降は加入資格者拡大に伴い、厚生年金基金へ加入している会社に勤めている人であっても、個人型確定拠出年金に加入できるようになります。厚生年金存続中に個人型に加入しておいて、厚生年金基金の脱退一時金が清算される際に個人型に移換すると良いでしょう。

 

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厚生年金基金が解散した場合、確定拠出年金に移換を

厚生年金基金という組織が解散した場合は、状況が異なります。

 

まず会社として企業型確定拠出年金を受け皿とする場合は、確定拠出年金の口座に残余財産を移換することができます。他にも一時金で受け取る、企業年金基金連合会にその資産を移すという選択肢がありますが、今後も老後の資産形成を継続していく意思がある人であれば、確定拠出年金を選ぶ方がおススメです。

 

●企業年金基金連合会・・・厚生年金基金や確定給付企業年金などの企業年金の通算事業と企業年金に対するサービスを行っている組織です。他にも、給付を行うための原資となる保有資産の運用も行っています。

 

ただ、残余財産分については運用をお任せしたいという人はどうすべきでしょうか? 企業年金連合会の場合、年齢により予定利率が異なるのですが、移換時の年齢が45歳未満の人であれば予定利率2.25%ですので、確認してみるのも良いかもしれません。ただし企業年金連合会は残余財産の受け入れは可能ですが、今後の積立を継続することはできません。

 

本来厚生年金基金の解散といったニュースは、社内でも十分に周知徹底されるべきなのですが、A4用紙1枚のお知らせにあまり意識せず同意の印鑑を押してしまう人が大半です。自分の状況を正しく理解し、これからとるべき行動は何なのかきちんと見極めたいものです。

 

 

【関連記事】

法改正により2017年から「併用可能」に!/【第13回】厚生年金基金加入者――「確定拠出年金」の併用は可能か?

 

 

本書に記載されている情報は、2016年10月執筆時点のものです。本書に記載された商品やサービスの内容や価格、URL等は変更される場合があります。本書の出版にあたっては正確な記述につとめましたが、著者や出版社などのいずれも、本書の内容に対してなんらかの保証をするものではなく、内容やサンプルに基づくいかなる運用結果に関してもいっさいの責任を負いません。

ど素人が始めるiDeCo  (個人型確定拠出年金)の本

ど素人が始めるiDeCo (個人型確定拠出年金)の本

山中 伸枝

翔泳社

確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補うものです。基本的に毎月掛け金を積み立て、それを貯金や投資商品に回します。 本書は、節税と資産形成に非常に有利なこの制度の仕組みをやさしく解説し…

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