今回は、50代で確定拠出年金に加入する際に、留意すべき点を見ていきます。※本連載は、株式会社アセット・アドバンテージの代表取締役で、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する山中伸枝氏による著書、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)より一部を抜粋し、自営業、公務員、会社員などの職業や、年代によって最適な「確定拠出年金の活用方法」をご紹介します。

給付開始年齢引き上げのスケジュールを把握しておく

<ケース4> 50代会社員

 

50代で確定拠出年金を始めるにあたり、注意すべき点は老齢給付の開始年齢です。確定拠出年金は、60歳までの加入期間が10年に満たないと、少しずつ給付開始年齢が引き上げられます。

 

例えば60歳までに加入期間が8年以上10年未満だと受給開始は61歳、6年以上8年未満だと62歳、4年以上6年未満だと63歳、2年以上4年未満だと64歳、1カ月以上2年未満だと65歳までの引き上げです。まずこのスケジュールを理解しましょう。

 

受給開始年齢に達しないと確定拠出年金は絶対におろすことはできません。給与収入がなくなって以降の生活に必要な入出金を考えておかないと、資産はあっても使えるお金がない、つまり黒字倒産のような状態になってしまいます。

 

60歳以降の働き方はどうしますか? 再雇用の可能性はどうですか? 給与はどのくらい見込めそうですか? 退職金は? 公的年金はいつからいくらですか? 60歳以降のキャッシュフローをチェックしながら、確定拠出年金の受給開始年齢のスケジュールに問題がないかを確認します。

70歳までの10年間、受け取り開始はいつでも良いが…

もう1つの注意点は運用方法です。老齢給付が60歳から認められる場合でも、かならずしも60歳になったときにすべてのお金を引き出さなければならないというルールではありません。70歳までの10年間でいつ受け取りを開始しても良いのです。

 

例えば60歳を直前に株の大暴落が起こり、資産が大きく目減りしたとしましょう。受け取り開始は70歳まで据え置くことができるので、10年間市場が回復するのを待つことができます。

 

しかし、期間が10年に満たないという理由で、受給開始年齢が60歳より後ろにずれた場合でもあっても、最終的な受け取り開始年齢は70歳までと変わりません。

 

つまり「万が一の市場の暴落時」に待機することができる時間が短くなるわけです。そこにリスクを感じる場合は、債券を中心にしたリスクを抑えた運用を考えましょう。

本書に記載されている情報は、2016年10月執筆時点のものです。本書に記載された商品やサービスの内容や価格、URL等は変更される場合があります。本書の出版にあたっては正確な記述につとめましたが、著者や出版社などのいずれも、本書の内容に対してなんらかの保証をするものではなく、内容やサンプルに基づくいかなる運用結果に関してもいっさいの責任を負いません。

ど素人が始めるiDeCo  (個人型確定拠出年金)の本

ど素人が始めるiDeCo (個人型確定拠出年金)の本

山中 伸枝

翔泳社

確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補うものです。基本的に毎月掛け金を積み立て、それを貯金や投資商品に回します。 本書は、節税と資産形成に非常に有利なこの制度の仕組みをやさしく解説し…

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