前回は、「民泊新法」で定義される民泊とそのサービス内容を紹介しました。今回は、ホームステイ型・家主不在型の民泊運営に課せられる義務を見ていきます。

安全面・衛生面のリスク排除、匿名性の排除等に期待

ホームステイ型における住宅提供者、家主不在型における管理者には以下のような措置を講じることが義務付けられます。

 

●利用者名簿の作成・備付け(本人確認・外国人利用者の場合は旅券の写しの保存等を含

む)

●最低限の衛生管理措置

●簡易宿所営業並みの宿泊者1人当たりの面積基準の遵守

●利用者に対する注意事項の説明

●住宅の見やすい場所への標識掲示

●苦情への対応

●提供する住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認

 

これらの義務が履行されることによって、安全面、衛生面等のリスクが軽減され、匿名性の排除が確保されることが期待されているわけです。

 

さらに、住宅提供者、管理者に義務を守らせるための手段として以下のような行政調査、行政処分等に関する規定も設けることが検討されています。

 

[住宅提供者に対して]

⑴ 法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立ち入り検査

⑵ 違法な民泊を提供した場合の業務の停止命令等の処分

⑶ 無届で民泊を実施したり、前述の義務に違反するなどの法令違反に対する罰則等

⑵の違法な民泊の例としては、「一定の要件」に違反した民泊や、ホームステイ型と偽って家主不在型の民泊を提供するケース等があげられています。なお、これらの規定は「家主不在型」の住宅提供者に対しても適用されます。

 

[管理者に対して]

●法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立ち入り検査

●業務を怠った場合の業務停止命令、登録取消等の処分

●法令違反に対する罰則等

コンビニが管理業務に乗り出す可能性も!?

このように「家主不在型」で民泊を営むためには、管理者を置くことが必要になりますが、管理者のなり手としては、民泊仲介事業者や民泊代行事業者などこれまで民泊サービスに関わってきた業者や不動産管理会社などが考えられます。

 

また、民泊新法が制定されれば宿泊業者の民泊ビジネスの参入が今後進むことが予想されます。そうなれば、ホテル・旅館が管理者となる例もごく普通に現れてくるでしょう。

 

さらに、将来的にはコンビニエンスストアが民泊の管理業に乗り出してくる可能性もあります。たとえば、宿泊するマンションの部屋に向かう前に、コンビニでチェックインをしてカギを受け取る、宿泊後はコンビニにカギを戻しチェックアウトを済ませる、何か問題があればコンビニに連絡するというようなイメージになるでしょうか。いうなれば、コンビニが”地域のフロント”の役割を果たすようになるわけです。

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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