ホテル・旅館が行っている「感染症対策」の具体例

前回は、ヤミ民泊の大きな問題である「輸入感染症の拡大リスク」について説明しました。今回は、一般的なホテル・旅館が行っている「感染症対策」の具体例を紹介します。

発生源の早期特定のために「宿泊者名簿」を用意

では、宿泊業の世界では感染症の拡大を防ぐために、どのような対策を行っているのでしょうか。

 

ホテル・旅館では、感染症が発生したときにその発生源を特定し、感染者を迅速に隔離することなどを可能とするために、宿泊時に本人確認の手続きを行っています。

 

具体的には、旅館業法や旅館業法施行規則、自治体の条例などに基づいて宿泊者の身元を確かめ、さらに宿泊者に関する次のような情報を宿泊者名簿に記載しています。

 

●氏名

●住所

●職業

●年齢

●性別

●到着年月日及び出発年月日

●前宿泊地及び行先地

 

また、日本国内に住所を持たない外国人については、これらの項目に加えて「国籍」と「旅券番号」 も記載し、旅券の提示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とあわせて保存することが義務付けられています(旅券の写しがある場合には、これを宿泊者名簿の氏名、国籍及び旅券番号の記載に代えることもできます)。

 

ヤミ民泊では「本人確認の手続き」が行われていない!?

しかし、現在、民泊の大部分を占める”ヤミ民泊”では、ほとんどの場合、こうしたホテル・旅館のような本人確認の手続きが行われておらず、宿泊者名簿も設けられていないので感染者の追跡は困難とみられています。

 

また、厚生労働省は、海外から感染症が国内にもたらされるおそれがある場合には、適宜、ホテル・旅館等に対して通知を発し留意事項を伝え、適切な対応を取ることを求めています。たとえば前述したエボラ出血熱について国内感染のおそれが生じた際には、宿泊者から「同病に感染したかもしれない・・・」などの訴えがあった場合には、以下のような措置を取ることを要請しました。

 

「宿泊者から宿泊施設の営業者又は従業者に対して、38度以上の発熱又は体熱感等の訴えがあり、かつ、当該者自身が検疫所への健康状態の報告を義務付けられている者であると申告してきた場合に、宿泊施設の営業者又は従業者は、直ちに保健所に連絡すること」(2014年12月15日「旅館業の宿泊施設におけるエボラ出血熱への対応について(通知)」より)

 

このような指示に従って、ホテル・旅館であれば、万が一の場合にも然るべき対応を取ることができます。また民泊でも旅館業の許可を取るなど合法的な形で行われていれば、関係当局から連絡があるでしょうから、やはり同様の対応が可能でしょう。しかし、当局が把握していない”ヤミ民泊”に対しては、当然、そうした指示は行き届かないので、適切な対応を取ることが期待できません。その結果、いたずらに感染が広がるおそれがあるのです。

とまれる株式会社 代表取締役

京都大学在学中、株式会社ガイアックスを起業。上場に伴い退社したのち、楽天株式会社に入社、プロデューサーとしてMyRakuten等を担当。2013年より株式会社百戦錬磨に参画、取締役に就任。IT業界に精通している立場から観光業に携わったことで〝違法民泊〞の横行に強い問題意識を持つようになる。2013年にとまれる株式会社を設立、代表取締役社長に就任。国が進める国家戦略特区構想のアイデア公募に、空室物件と宿泊者をマッチングし、観光立国化と不動産価値の向上も実現できる民泊の仕組みをいち早く提案した。2013年末に提言が採用され特区法13条が成立、2014年4月からは他社に先駆けて特区民泊事業をスタートさせた。現在は「STAY JAPAN」を運営し、民泊オーナーと旅行客のマッチングを推進している。

著者紹介

連載トラブル回避!オーナーが知っておくべき「民泊新法」

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧