前回は、ヤミ民泊に潜む「テロ」のリスクを取り上げました。今回は、ヤミ民泊の「匿名性」が経営者・宿泊客に及ぼす悪影響を見ていきます。

匿名性を悪用され、犯罪行為が行われるリスクも

宿泊者の身元確認が十分に行われていない”ヤミ民泊”の”匿名性”は、そのことが原因となり、社会に対して衛生上、治安上の危険がもたらされるおそれが非常に大きいといえますが、さらにいえば”ヤミ民泊”の運営者にも大きなダメージがもたらされる可能性があります。

 

たとえば、偽名で宿泊した人物が、宿泊場所を使って、麻薬取引や売春などの犯罪行為を行う可能性は十分にあり得るでしょう。マンションや一軒家には、ホテルや旅館のようにフロント、受付が存在しないので、誰でも自由に出入りすることができます。犯罪者の目から見れば、非合法な活動を行うのにまさに格好の場所と思えるはずです。

 

また、犯罪行為に利用される事態にまでは発展しなくとも、部屋を乱暴に使われて修繕が必要になったような場合、本来なら宿泊した人に修繕費を請求し支払ってもらうことができるはずですが、予約の際に偽名や偽の連絡先が使われていれば、それが困難になります。

もし反社会勢力が「民泊を運営」しているとしたら?

一方、宿泊する側にとっても、民泊の”匿名性”はリスクになり得ます。ホテルや旅館であれば、万が一、宿泊した部屋で「シャワーが出ない」「クーラーがつかない」などといったトラブルが起こっても、フロントなどに連絡すれば、すぐに対応してもらえます。

 

しかし、”ヤミ民泊”の中には「誰が管理しているのか」がはっきりしない物件も少なくありません。そのため、宿泊者が不測のトラブルに巻き込まれても、それをスムーズに解決することができず、不愉快な思いを強いられることになるかもしれないのです。

 

さらに、”匿名性”を悪用して、反社会的勢力が”ヤミ民泊”に関わっているとの指摘もあります。もし暴力団などの犯罪組織が運営している部屋に間違って泊まってしまったら、どんな”罠”が張り巡らされているか分かりません。

 

「部屋のテレビが壊れていた。弁償しろ」などと後から言いがかりをつけられて金銭を要求されないとも限らないでしょう。また、宿泊時に提供した個人情報が不正に利用されるおそれもあります。

 

このように、”ヤミ民泊”には文字通り”闇”に覆われている部分が多く、そのために宿泊する側も、宿泊させる側もトラブルに巻き込まれる危険性が非常に大きいのです。

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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