前回は、ホームステイ型・家主不在型の民泊運営に課せられる義務について取り上げました。今回は、仲介事業者にも規制がある「民泊新法」に定められた禁止事項を見ていきます。

行政庁への登録が仲介事業者を営む条件に

新法では、”ヤミ民泊”を取り扱っている仲介サイトが存在する現状などを踏まえ、仲介事業者に対する規制も図られています。

 

まず、仲介事業者は行政庁への登録を行うことが求められています。無登録の仲介事業者の利用は禁じられる予定です。

 

また、仲介事業者には消費者の取引の安全を図るため、取引条件の説明義務や新たな枠組みに基づく民泊であることをウェブサイト上に表示する義務も課されることになります。

 

さらに、以下のような事業者に対する行政調査、行政処分等に関する規定も設けることが検討されています。

 

⑴ 行政庁による報告徴収・立ち入り検査

⑵ 違法な民泊のサイトからの削除命令

⑶ 違法な民泊であることを知りながらサイト掲載している場合の業務停止命令、登録取消等の処分

⑷ 法令違反に対する罰則等

 

⑵、⑶の違法な民泊の例としては、無届のホームステイ型民泊、登録管理者不在の家主不在型民泊、「一定の要件」に違反した民泊等があげられています。

今後の課題は「合法・非合法」を確認できる仕組み作り

また、最終報告書では、「外国法人に対する取締りの実効性確保のため、法令違反行為を行った者の名称や違反行為の内容等を公表できるようにすることを検討すべきである」と強調されていることも注目されます。とりわけ海外系の民泊仲介サイトに遵法性が低い傾向が認められると国が強く問題視していることの表れといえるでしょう。

 

なお、最終報告書を見る限りは、掲載している民泊が合法か否かについて仲介事業者が確認することまでは求められてはいません。この点に関して、現在、当社は自主的に独自の方法で確認作業を行っていますが、できれば合法性を容易に確認できる公的な仕組みを設けて確認を義務付けることが望ましいといえるでしょう。

 

[図表]公認民泊のみを扱う仲介サイトの例

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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