従来、会計ファイルはバラバラに保存されていたが…
クラウド会計ソフトとは、まず始めに、インターネットのいわゆる「仮想空間」上に、各々の企業の財務会計ファイルを開設します。そして各々のユーザーが、クラウドコンピューティングの仕組みを使った「クラウド会計ソフト」で、経理作業を行います。
経理処理には、いつでも、どこからでも、誰でも、簡単にアクセスできるインターネット環境が利用できます。この環境は「ユビキタス」と呼ばれます。いまや小規模企業の経理も、ユビキタス環境下で、クラウドコンピューティングの仕組みのクラウド会計ソフトにより処理されます。
クラウド会計ソフトの最大の特徴は、クラウド上に置かれた巨大な情報センターに、情報が「一元化」されることです。つまり、各々の企業の会計ファイル情報が1つしか存在しない状態ができあがるのです。
従来は、中小企業の会計において会計ファイルは、社長管理下の経理係、または社長自身のPCに「大元」があり、たとえば営業本部や経営管理室などの各部署ではその写しをもって各々の仕事をしていました。
さらには、顧問税理士も社外で同じ会計情報をもって、税務顧問をしていました。これでは、どれが最新の会計ファイルか紛らわしいです。
それが「1つしかない会計情報」として、各企業の会計ファイルが一元化されるのです。その一元化情報へのアクセスは、原則として各々の職能ランクで識別管理された暗証番号により行われます。つまり、当事者は暗証番号で、経理ファイルの更新や経理情報の閲覧が可能です。
法的にも信憑性が確保される自動経理アプリ
クラウド会計を実現するために使用するアプリケーションがクラウド会計ソフトであり、次の要素をもっています。
①手持ちのPCやスマートフォン(スマホ)、タブレット等を使う。
②既存のインターネット回線を利用する。
*共同利用の情報センターを月次レンタル方式で使用する。
*共同利用の情報センターとは、クラウド会計ソフトメーカーや、たとえば米国の専業の巨大レンタル会社が運営に当たっている区分利用・レンタル方式のこと。
「経理帳簿は営業推進の役に立たない」と、社長が経営現場でうそぶく時代は、もう終わったのです。自社の経理情報を即座に活用できることにより、経営格差は一段と加速されることでしょう。
税理士の視点から評価すれば、自動経理・自動電子帳簿保存の機能(アプリ)の適正運営の砦は、顧問税理士らにあります。つまり、自動経理アプリによって行われた「自動仕訳」は、顧問税理士による経理検査(仕訳誤りの修正)、および決算書の決算監査により、法的にも信憑性が確保されるのです。